麒麟の川島明さんが8月14日の「ホンマでっか!?TV」(フジテレビ系)で、ラーメン屋に対する不満を語った。川島さんはとあるラーメン屋に行った際、壁に「まずスープをすするべし」「まず何もかけずに麺をすするべし」と高圧的な内容を書かれていたことに、お金を払って自由に食べたいだけなのにルールを押し付けられてしんどかったという。
続けて、「大盛りをマシマシと言わなければいけない」など、その店特有の専門用語があるラーメン店にも煩わしさを感じるとコメントした。(文:石川祐介)
「営業中」を「勝負中」と看板に書くラーメン屋が嫌い
雑誌やサイトなどで店長の顔写真が掲載されることはよくあるが、「洋食屋はニコッとしてますけど、ラーメン屋の店長は頭にタオルを巻いて腕を組んで睨みをきかせている」と指摘する。ラーメン屋の店長は高圧的な印象が強いため、店にいても居心地悪く感じてしまうようだ、
そして川島さんは、普通の飲食店が「営業中」なのに、ラーメン屋では「勝負中」「心を込めて営業中」「頑張ってる最中」と書かれた看板を使用しているケースが多いことが気になると語る。終いには、「休憩中」ではなく「休憩させてください」と書かれた看板を使用している店もあり、違和感を覚えずにはいられないと語った。
ラーメン屋への不満を熱弁した川島さんに対して、脳科学者の中野信子氏は
「ラーメンは割とシンプルな料理。差別化を図るのにトッピングだとかなり限界があって、演出をするしかない。となるとお店の設いとか、マスターが本当は心優しいのに気難しくしてみたりとかになる」
と解説する。たしかに、同じような味であっても店の雰囲気に癖があったほうが記憶に残りやすそうではある。
「店を出してから3年以内に8割のラーメン屋が廃業」 だからこその戦術か
生物学者の池田清彦氏もラーメン屋は大衆向けに薄利多売で展開するか、通好みのこだわりの強い店作りをするしか生き残る道がないと解説する。ただ、薄利多売は激しい競争にさらされるので店を維持することが非常に難しいため、少数の固定客だけで店を維持できるような戦略を展開する傾向があるという。
「オタク層の客は自分が通であることを威張りたいから、そういった客が満足するようなルールを設ける。また、店側と客の連帯感を育むために専門用語を使って固定客になってもらうようにしている」
こだわりの強いラーメン屋は店長と客の”内輪感”を出すために、戦略的にブランディングされたようだ。よそ者の川島さんが居心地悪くなってしまったのは、ある意味では店の狙い通りと言える。ネットで有名な「高菜、食べてしまったんですか」のラーメン屋も戦略的には正しいのだろう。
また、マーケティング評論家の牛窪恵氏は「店を出してから3年以内に8割のラーメン屋が廃業する。逆に残っていることは凄いこと」とラーメン業界の厳しい現状を説明する。そのため、店側は生き残るために、あえてこだわりの強い店作りをして客にSNSで宣伝してもらう、という狙いがあると語った。
ネット上では「ラーメンのやつめっちゃわかる。普通に食わせろっておもう」と川島さんの主張に共感する声が寄せられ、こだわりの強いラーメン屋に不快な気持ちにさせられた人も多いようだ。ただ、それらは全て店を維持するために導き出した生存戦略なのかもしれない。