ダイエットが気になる女性は太っている自覚が無い? 女子がモノを買う心理を「アナ雪」で解説するマーケティング本 | キャリコネニュース
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ダイエットが気になる女性は太っている自覚が無い? 女子がモノを買う心理を「アナ雪」で解説するマーケティング本

女性は「自己充足」を目的としている?

女性は「自己充足」を目的としている?

商品はいいのに、女性には売れない。女性を相手にする仕事をしているが、うまく関係が築けない。そんな悩みをお持ちの方は、女性向け商材のセールスコピーライターとして大きな実績を持つ、谷本理恵子氏の『プリンセス・マーケティング 「女性」の購買意欲をかき立てる7つの大原則』(エムディエヌコーポレーション)を読むといいだろう。

谷本氏によると、女性と男性では、求めている物語やモチベーションが違うため、女性の真意を汲んだアプローチ方法が必要だという。どう違うかを男性と比較しながら説明するため、自ずと男性に売れやすくなるコツも分かってくる。ビジネスに限らず、女性に対して何かを訴求したい人にも、考え方や方法論を示してくれる良書となっている。(文:篠原みつき)

女性が求めるのは「本来の自分を取り戻す」というストーリー

本書は、男女の違いを理解するために、わかりやすい「物語」の枠組みをベースに解説している。まず理解しておくべき大前提は「女性と男性では、求めている『物語』が違う」ということだ。

例えば「男性が主人公の物語」では、平凡だった主人公が自分の使命を自覚し、仲間とともに試練をくぐり抜け成長し、勇敢な戦士として敵と戦い世界を救う「ヒーロー物語」が多い。ゴールの城では「ご褒美」として美しい姫が待っているのが典型的で、「『桃太郎』の鬼退治にも『スターウォーズ』にも当てはまる、普遍的な流れと言えます」と解説している。

一方、「女性が主人公」の物語では、

「今いる場所に漠然とした『違和感』を感じている主人公が、何かのきっかけで『自分が何者であるか』に気づき始めるところからスタートします。 冒険や戦いを迫られたとしても、それは過去の暮らしを捨て『自分が本来、当然いるべき』だと感じる『新しい世界」で生きるまでの個人的な旅に過ぎません」

名誉や他人の評価よりも、「自己充足」が目的のため

「『シンデレラ』や『人魚姫』のように、これまで生きてきた世界から断絶された『新しい世界』に行ったっきり。もしくは、『アナと雪の女王』のように、戻った世界自体が、次元が一つ上がった『新しい世界』に変化しているため、これまでの延長上ではない『自分らしい暮らし』が新たに始まります」

とのこと。多くの女性は『シンデレラ』で言えば、「舞踏会に行けず家で一人掃除をしているような「みじめな自分は仮の姿」で、「お城にいる自分が本来の姿」だと感じているという。

だからこそ、男性には「自分以外の人から評価される」かどうかを、女性には「本来の自分らしさ」を取り戻すことを訴求していくほうが、より売れる可能性が高くなるという。女性に対して「ていねいな暮らし」や「あなたは、もっと自由に輝ける」などのフレーズがよく使われるのも、こういう理由があったのだ。

ダイエット商材の「使用前・使用後」に嫌悪感を示し、「金髪美女」には共感

特に印象的なのは、お姫様は醜い現実を見たくないので、女性に対して「これで悩んでいるはず」という現実的な問題をぶつけるのは禁じ手、という説明だ。

著者は、女性向けダイエット商材の売り込み方を試行錯誤する中で「ダイエットが気になっているほぼすべての人には太っている自覚がなく、あまり悩んでいない」という結論にたどり着き、衝撃を受けたという。女性たちは、商材の「使用前・使用後」の写真に購買意欲を刺激されることはなく、むしろ嫌悪感を示したとのこと。魔法使いに醜いカエルにされているが、魔法が解ければ本来の美しい自分に戻れると信じているお姫様は「あなたはカエルだ」などと言われたくない、という説明がわかりやすい。

一方、女性たちは、本人とはかけ離れた「金髪の絶世の美女」の広告にまったく違和感なく共感し、素直に「私らしさ」を感じ取るという。本来の自分に戻るためのつらい努力は不要であり、呪いを解くなり魔法をかけるなりの「キッカケ」さえあれば、もとの「完璧な世界」に戻れるという認識がある。ゆえに「すべてを一瞬で解決できるように思えるモノやサービス」に強く惹きつけられてしまうそうだ。

通販好きの筆者としては、これにも納得。自分がお姫様だという認識はないつもりだったが、かなり本書の解説に当てはまる点が多く、目からウロコだった。もちろん、男女がすべてこうと決めつけているわけではなく、あくまで性別による傾向を分析したものだ。それでも、これらの考え方を知っているのといないのとでは、売上や訴求力に大きな差が出るだろう。女性をターゲットにした広告やサービス、接客に携わる人は「読まなきゃ損」な一冊と言えよう。

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