ふとしたきっかけで、話がズレていくことがある。しかし、採用面接で、ここまでズレたやり取りが行われるとは……。とある20代後半の女性Aさんから、キャリコネニュース編集部にこんな経験談が届いた。
それはAさんが転職活動中、とある地方のITベンチャー企業で面接を受けたときの話だ。Aさんは「選考前の面談から最終面接まで一貫して社長に対応いただき、かなり感触も良くその場で内定が出そうな勢いで話が進んでいました」と、手応えを感じていた。
しかし、「面接終盤の社長のある一言をきっかけに、空気が一変しました」とAさん。この女性社長、にわかには信じられないようなことを言ってきたのだ。(文:okei)
そのヒトコトで「固まってしまった」
Aさんに職務内容を説明するとき、この社長は何気ないことのように「あと、社員の食器も洗ってもらうかも」と付け加えたという。
食器洗い? 繰り返すが、Aさんが受けたのは「ITベンチャー」である。職種は「総務・人事・広報を兼任する『なんでも屋』のようなポジション」だったというが、さすがに食器洗いは想定外だろう。Aさんが思わず固まっていると、社長は、こんな風に付け加えてきた。
「既存の社員は全員男性だから、放っておくと汚れたまま使う人もいるから」
「男性はそういうところに疎いから、女性なら気付いたら洗ってあげる必要がある」
「女性なら?」あまりの時代錯誤に驚いて反論したくなったAさんだが、そこはグッとこらえ、反応を伺っている社長に対して、頭を悩ませ言葉を選びながら、次のように答えを返したそうだ。
「今まで性別で役割を与えられる環境に身を置いたことがないので正直驚いている。ただ、採用予定の職種における職務内容に含めるということであれば、遂行はできる。でも使った人が自分で洗えばいいとは思う」
真摯な答えに思えるが、社長はしつこく食器洗いについて質問を重ねた。
「本当に今までの社会人生活で男性社員の食器を洗ったことがないのか」
「汚れていたら洗ってあげようとは思わないのか」
もはや仕事の話はそっちのけである。完全に変なスイッチが入ってしまったようだが、一体何が社長をここまで熱く駆り立てたのだろうか……。
という質問が繰り返された。女性の返答が気に入らなかったのだろう。「最終的に、その場は『”ジェネレーションギャップ』”という言葉で片付けられました」とAさん。ちなみに、女社長は40代だったそうだ。
そしていうが、結果は、不採用。
「単純な能力不足かもしれないし、『性別だけを理由に食器は洗えない』という主張そのものが受け入れられなかったのかもしれないし、そこを受け流せない世渡り下手なところがよくなかったのかもしれないし、何なら全部かもしれません」
と苦い記憶を振り返ったAさん女性は、最後に思いをこう吐露している。
「でも、今どき女性社員に食器洗いを強要するような時代錯誤な会社に入らなくて良かったと思っています。幼児じゃあるまいし、食器くらい自分で洗えよと」
問題が食器だけなら、食洗機で解決しそうだが……。むしろ頑固すぎて手のほどこしようがないのは、この社長の方かもしれない。
※アンケート概要
■実施期間
2021年8月4日~
■回答数
54 ※2021年9月8日時点
(記事では、2021年9月7日に寄せられた投稿を紹介)
■アンケート対象
キャリコネメルマガ会員(63万人)やキャリコネニュース読者、キャリコネニュースSNSフォロワー
■実施方法
アンケート集計ツール「クエスタント」を使用
回答ページ https://questant.jp/q/74FZSHAJ
■質問項目
あなたが就活や転職の面接で経験した信じられないようなエピソードを教えて下さい。