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「エンジニアが自らブログを書いて発信する会社」は、どうやって作るのか?

エンジニアに好かれる会社になるために

エンジニアに好かれる会社になるために

先日dodaが発表した2022年7月の職種別求人倍率は、「エンジニア(IT・通信)」が9.12倍と断トツで、2位の「専門職(コンサル・金融)」の5.71倍を大きく上回りました。実に求職者数の10倍近い求人数があり、20年ほど前に米マッキンゼー&カンパニーが掲げた “The War for Talent”(人材獲得戦争)を体現する労働市場となっています。

IT業界は、各社がしのぎを削って採用活動の創意工夫や試行錯誤を繰り返しており、他業界が参考とすべき「採用先進業界」といって間違いありません。そんな中、日本CTO協会が「エンジニアが選ぶ開発者体験が良いイメージのある企業ランキング30」を発表しています。(人材研究所代表・曽和利光)

有名大企業に負けない「採用力のあるベンチャー企業」がある

この調査は、エンジニアにとっての「テックブランド力」を調査したもの。エンジニア採用力のランキングといってよいでしょう。総合ランキングは、1位がメルカリ、2位Google、3位LINE、4位ヤフー、5位サイバーエージェントでした。

一方、誰もが知っている有名企業が並ぶ中、10位「ゆめみ」、12位「クラスメソッド」、13位「Ubie(ユビー)」、15位「LayerX(レイヤーエックス)」など、一般的な社会認知が必ずしも高くないベンチャー企業の名前が入っているのも特徴的でした。

以前はB to C企業と比べて相対的に採用が難しいとされていた「B to B」や「SaaS」のような企業がランクインしていることも、注目すべきところではないかと思います。

有名大企業に負けないブランド力のあるベンチャー企業の共通点は、いずれも「エンジニアが自らブログを書いて発信している」ことでした。例えばクラスメソッドは「DevelopersIO」というブログを運営しており、AWSなどのクラウド技術に関わるエンジニアで知らない人はいないそうです。

Z世代に重視される「コミュニティへの貢献度」

上位社名をあげた回答者が認知している発信チャネルは「所属エンジニアのテックブログ/Qiita等での技術情報の発信」(75.6%)がトップで、「所属エンジニアの登壇している技術イベント」(66.2%)や「所属エンジニアのTwitter」(60.1%)などが続いています。

これらは「事業責任者/経営者のインタビュー記事」(29.8%)や「企業の公式(採用)サイト」(42.0%)といった、人事や広報が主導となって行う取り組みの認知度を大きく上回っています。この傾向は「好感を持っているか」についてもほぼ同様でした。

調査結果から分かることは、エンジニアの認知や好感は、企業の規模やサービス自体の認知度、広告やメディアでの露出量よりも「エンジニアのコミュニティに活発に貢献している企業に集まる」ということです。お金や力よりも、目に見える個々人の努力の方が注目され評価されていることは、私には清々しく感じられます。

もちろん専門家集団であるITエンジニアだからこそ、という側面もあるでしょうが、この傾向は、社会貢献度や理念を重視し、貢献欲求・感謝欲求・承認欲求がモチベーションリソースである人が多いとされる「Z世代」の価値観にも合致しています。

したがって、エンジニア以外の業界や職種においても、参考にできる結果ではないかと思います。特に、お金や力がまだなく、採用を諦めている中小・ベンチャー企業の採用担当者の皆さんにとっては朗報かと思います。

「組織市民行動」は組織に愛着を抱くときに生まれる

では、どうすればIT業界におけるエンジニアのテックブログのような、社会やコミュニティに貢献するような行動を取ってもらえるのでしょうか。

日本CTO協会理事の広木大地氏は、こういう結果が出たからといって「じゃあ採用のためにブログを書こう」と思っても、うまくいくものではないとおっしゃっています(NewsPicks「採用のために技術ブログを書くわけじゃない。」)。

採用を目的にブログを書くのではなく、自発的に、書きたいから、役に立つから書くということでなければ、良いものは書けないということです。コミュニティへの貢献はボランタリーなものでなければ、逆にイメージを落とすかもしれません。下心は見抜かれるのです。

エンジニアのテックブログのように、自分の役割外ではあるが会社のためになる貢献活動を自発的に行うことを「組織市民行動」と呼びます。このような行動を促すためには、会社は次のような状態を確保する必要はあるといわれています。

「従業員の職務満足度が高い」
「組織の仕組みや手続きが公正」
「従業員が自分の所属する組織に愛着を抱いている」
「従業員の気分が良い状態にある」

まずは「会社が彼らに貢献」する必要がある

逆に従業員が「職務負担が過剰である」「職場での役割や職務内容が曖昧で葛藤がある」と感じている職場の場合、組織市民行動は減っていきます。要は「従業員にとって良い会社や職場環境」を作ることで組織市民行動が生まれ、会社や採用のためになる社会貢献活動も、ボランタリーにやってくれるようになるのではないかということです。

当たり前の結論ではありますが、結局、従業員にとって良い会社、良い職場、良い環境を作らなければ、採用だけ頑張ってもダメだということではないでしょうか。社員に貢献行動を取って欲しければ、まずは「会社が彼らに貢献しなければならない」ということです。

sowa_book【筆者プロフィール】曽和利光
組織人事コンサルタント。京都大学教育学部教育心理学科卒。リクルート人事部ゼネラルマネジャーを経てライフネット生命、オープンハウスと一貫として人事畑を進み、2011年に株式会社人材研究所を設立。著書に『人材の適切な見極めと獲得を成功させる採用面接100の法則』(日本能率協会マネジメントセンター)、『「ネットワーク採用」とは何か』(労務行政)、『組織論と行動科学から見た人と組織のマネジメントバイアス』(共著、ソシム)など。

■株式会社人材研究所ウェブサイト
http://jinzai-kenkyusho.co.jp/

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