「特にありません」で沈黙の30分… 形骸化した1on1を劇的に変えるフレーズと時間配分

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管理職研修に参加者に、「部下と効果的な1on1をすることができていますか?」とか「1on1の効果を実感できていますか?」と問いかけると、多くの皆さんが苦笑いを浮かべながら首を横に振ります。
1on1は部下のための時間であること自体は理解しているので、「今日はどんな内容でこの時間を活用していきますか?」と話し始めるようですが、部下からは「特にありません」とか「沈黙」がもたらされることが多く、上司が苦し紛れに「最近の仕事の調子はどう?」と聞いてしまい、業務の進捗確認の時間になってしまうようです。
今回は、形骸化した1on1を有意義な場に変えていく方法についてご紹介してまいります。(文:働きがい創造研究所社長 田岡英明)
「特にありません」の言葉に隠された部下の思い
部下からの「特にありません」に対して、上司としては「主体性がないな〜」とか「やる気が落ちているのかな〜」と考えてしまいがちです。しかし、その言葉の裏には、以下のような部下なりの思いや上司側が作ってしまっている「心の壁」が隠されています。
・「何を話せばいいのか分からない」という戸惑い
1on1の本質は「部下のための時間」であり、業務確認だけの時間ではありません。しかし、日常の上司との会話の中で、業務の指示や命令しか受けてこなかった部下にとって、「自分の今の思いやキャリア等、困りごとを自由に話していい」と言われても、具体的に何をどう話せばいいのか戸惑ってしまいます。
・「本当になんでも話していいのか」という警戒心
部下にとって、上司は「自分を評価する存在」です。「こんな後ろ向きな悩みを相談したら評価が下がるのではないか」とか「弱音を吐いたら頼りないと思われるのではないか」という不安があると、本音に蓋をして「特にありません」と答えるのが最も安全な防衛策になってしまいます。
・「今の仕事のままでいいのか」という漠然とした不安感
毎日の忙しさの中、永遠に続くように思われる日常の仕事に対し、「自分の将来の姿が描けない」とか「自身の成長を感じられていない」といった思いがあると、仕事へのモチベーションが下がり、今の思いや仕事の状況を上司に話しても無駄だと考えてしまいます。
つまり、「特にありません」は部下の本当の思いではなく、「まだ安心して本音を話せる関係性が築けていない」という上司へのサインや、現状の仕事に満足できていないといった警笛なのです。
効果的な1on1のストーリー
1on1を意味のある時間にするためには、行き当たりばったりで話すのではなく、30分という限られた時間の中に「明確なストーリー」を持たせることが大切です。
1. チェックイン
まずは、3〜5分の間、部下を承認しながら場を温める時間をとります。いきなり「今日はどんな内容でこの時間を活用していきますか?」と聞くのではなく、
「最近暑い日が続きますが、いつも元気に動いてくれてありがとう」
「いつも他のメンバーを気遣ってくれて、助かっているよ」
といった承認の言葉を投げかけていきます。
2. 本日のテーマを決める
ある程度承認の言葉で場を温めたら、「今日はどんな内容でこの時間を共有していきましょうか?」と、部下の話したいテーマをベースに、一緒に考えていく時間であることを伝えていきましょう。部下や上司が一方的に話すのではなく、思いを共有する場である感覚を育むことができれば、部下の話したい内容を引き出すことができます。
3、テーマの内容を掘り下げる
部下の話したいテーマが決まったら、深掘りしていきます。部下の思いを尊重して傾聴しながら
「もう少し具体的に教えてください」
「10点満点だとしたら、現在の状況は何点位になるかな?」
「何がハードルになっているのだろう?」
といった質問を展開します。部下の話を理解するとともに一緒に悩んでいく姿勢を見せていきましょう。
4. 次へのアクションを考えさせる
話しを共有して終わりではなく、「次に向けて、まず何から始めてみる?」とか「上司である私にサポートできることはある?」と、部下自身が主体的に動いていく言葉を引き出し、次回までの行動を具体化します。
5. ピークエンドを作る
30分間の内容を振り返り、「今日の内容でまだ話しておきたいことはある?」とか、「確認しておきたいことはある?」と確認し、「次回にまた話を聞けることを楽しみにしています」とこの時間に対する前向きさを伝えます。
そして最後に「困ったことや気になることがあったら1O1の時間まで待たないで、いつでも声をかけてくれていいからね。」といった安心感の言葉で1ON1を締めていきましょう。
1on1の本質は、その場で完璧な業務の答えを出すことではありません。「この上司は自分の話をしっかり聴いてくれる」「ここでは失敗や本音をさらけ出しても大丈夫だ」という確信を、まずは部下に持ってもらうことです。心理的安全性という土台が整ったとき、形骸化していた30分は、部下が自ら気づきを得て生き生きと動き出す「劇的な成長の時間」へと変わっていくはずです。本日の内容を参考に1on展開し、部下の働きがいを醸成していかれてください。
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