政府が7月に開設した就職氷河期世代向けの支援サイト「ゆきどけ荘」の評判が芳しくない。特に「ゆきどけ荘」というネーミングについては既報の通り「煽っているのか」「今更”ゆきどけ”とか遅すぎる」といった声が挙がっている。
今回は、政府広報を管轄する内閣府大臣官房政府広報室に「ゆきどけ荘」を開設した意図や、ネット上の反応をどう受け止めているのかを聞いた。(文:ふじいりょう)
「ご批判の声が出ることは当初から想定」
昨年から3年間で計650億円超の予算を計上している就職氷河期世代支援プログラムだが、その目的は非正規雇用者のキャリアアップや、ひきこもりの人の社会復帰の支援、国家公務員や地方公務員の中途採用など多岐にわたっている。
政府広報室の担当者は「骨太方針による就職氷河期世代支援が20年度から本格的に始まりましたが、これまで以上に情報発信の必要性が出てきました」とした上で、次のように話す。
「当事者の方やご家族の方々に直接情報を届けるため、政府広報の予算から、ご自分にあった支援先が分かりやすくなるようにポータルサイトを立ち上げました」
「ゆきどけ荘」では、イラストレーターに『センネン画報』『cocoon』などで知られる今日マチ子さんを起用。サイト上では、声優として出演している壇蜜さん、中川翔子さん、山田ルイ53世さんのメッセージ動画が閲覧できるほか、各支援窓口へのリンクを案内している。
ツイッター広告も「他人事に見える」と不評
さらに、同サイトはツイッターのプロモーション広告として、ユーザーのタイムラインに表示されるようになっている。「政府広報はこれまでにもヤフーのバナーなどに出稿しています」とネットを重視した広報活動を続ける中で、ツイッターを利用した理由については
「内閣官房就職氷河期世代支援推進室のアカウントには現在4000人以上のフォロワーがいますが、フォローしているユーザーでないとなかなか情報が届かない状況です。ツイッターのプロモーションによって、フォローしていないユーザーにもサイトを知ってもらうために出稿しています」
ということだった。
一方、該当のツイートには、ネット上で「中身のないサイト」「他人事に見える」といった批判のリプライが相次いでいる。担当者は「ご批判の声が上がることは当初より想定していました」として、改めてサイトの意義を説明する。
「まずは多くの人にサイトのことを認知してもらうことが重要だと考えています。支援を受けたいと考えてもどこに行けばいいのか分からないという声もこれまでありました。実際、サイトを立ち上げてから問い合わせの電話も増えています」
担当者は「今後は、実際に就労支援を受けた方の声を掲載するなどのコンテンツ拡充を図りたいと考えています」と掲載内容をより充実させる方針を固めているようだ。それらは就職氷河期世代に対して、どう響いていくのだろうか。当事者の一人として注目していきたい。