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採用担当者は「デモ参加学生」をどう見るのか 面接の現場にいる人間の本音を明かす

デモに参加する学生が、就職で不利になるのか否か――。そんな議論が以前からネット上で話題になっています。採用現場にいる一人として率直に本音を申し上げると、不利になることはまずありません。

そもそも面接の場では、デモに参加した話にならないのです。目の前にいる学生がデモに参加したかどうかを、私たちが把握する術はありません。テレビなどで顔を見かけることはありますが、そんなものいちいち覚えていません。(文:河合浩司)

問題は内容以前に「会話になっているかどうか」

考えたつもりが煽られてるだけでは困る

考えたつもりが煽られてるだけでは困る

例外として面接中に判明するとしたら、就活生が自ら「学生時代に力を入れたことは、デモ活動です」などと言い出した場合でしょう。

「今、自分も動かなくてはならない思い、すぐにデモ活動に参加しました。だから、私には行動力があると言えます」

しかし自己PRでこんな話をされたら(幸運なことにまだ出会ってはいませんが)、不合格にする確率が上がります。ただしこの場合に問題なのは、デモへの参加の有無ではなく「会話になっていない」ということです。

端的に言えば、この人は別の人が企画したデモ参加の呼びかけがあったから行ったに過ぎません。それだけで行動力があると言われても困ります。その上、大学3年間で力を入れたのがたった数日か数週間のデモしかないのでしょうか。他に何もないのであれば、それこそ行動していない証になってしまいます。

「さすがに、そんな学生は存在しないだろう?」と訝る方もおられると思います。しかし私は実際に「学生時代に力を入れたこと」として、カードゲームやアイドルの追っかけなどを平気で話す学生に出会っています。

それらを頑張ったから「私はこんなにすごいのだ!」と滔々と語られました。別に趣味としてゲームやアイドルが好きなのは、まったく問題ありません。しかし学生として頑張ったエピソードとしてこんな話をし出したら、やはり通すわけにはいかないのです。

ネットの情報だけに煽られて参加したのではないか?

私個人としては、デモへの参加を経験した学生さんと面接で出会うことがあれば、次のことを知りたいと思っています。

「それは自分で考えたうえで、参加したのでしょうか?」

友人から聞いた話やネットの情報だけに煽られて、自分では大して考えずに参加したのであれば、組織にとって扱いやすい人なのかもしれません。人材育成のプログラムができ上がっている分野であれば、活きる可能性があると考えます。

逆に自分で考え、自分で調べ、自分なりの明確な根拠に基づき活動をしていたのであれば、共に会社や業界を改革していける人材かもしれないと期待します。

ただ、自分なりの確固たる意見をお持ちでしょうから、正直なところ組織からすると扱いにくいタイプです。このタイプを育てることができる上司はあまりいませんが、戦力となって根付いてくれれば大きな力になってくれることもあるでしょう。

「自分で考え、自分で動く学生」なら会ってみたい

これらは「何を根拠にどう考え、どう動いたのか?」という具体的な話を聞いていけば、自然と分かってきます。例えば、何かに反対する根拠を「ただ人から聞いて鵜呑みにしているだけなのか、自分で調べて確認したのかどうか」といった点です。

これができている人は、自分で考え、自分で動く能力を有しているのではないかと考えます。だからといって合格にするかどうかは、相性がありますから一概には言えませんが、私が会いたい人材像であることは間違いありません。

デモ参加者は日本の将来を憂い、自ら動き出す人である可能性があるでしょう。公益をきちんと考え、行動に移せる若者には面接でも会いたいと思っています。

あわせてよみたい:最終面接前に「心理学」を学ぼう

 

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