"世界一ITを駆使した食堂"といわれる三重県伊勢市の「ゑびや食堂」の婿入り店主が、飲食業のDXに成功したエピソードをまとめた動画だよ。紙の台帳をやめて「何がどのくらい売れたか」をExcelに手入力するところから始まって、分析結果を基に仕入れやシフト、メニューなどを改善し、7年間で売り上げが5倍、利益が10倍に増えたという。

すべてDXによる生産性向上で、従業員を増やさなかっただけでなく、残業なし、週休二日制、連続有給休暇15日間も実現。さらに40人の従業員を連れて全部会社持ちの旅行にいけるようになったという。いまではそのシステムを、一般の飲食業や小売業にも提供しているそうだよ。

詳しい機能は関連動画で説明されているけど、主に次の4つのことができる。まずは「画像解析AI分析」。店の前や中にカメラを設置し、人の流れを捕捉してデータを見える化するものだ。いきなり高度に見えるけど、小売店や飲食店は入店率が大事だからね。

店に入ってくる人の数を、道を歩いている人の数で割れば入店率が分かるし、その割合を高めようとする施策のトライアンドエラーをする手がかりになる。天候による人通りの変化も可視化できるし、人通りがなくなる時間帯が分かれば営業時間の変更も考えられる。そのあたりを、実際の数値を見てやるか、勘と経験でやるかでは、成果に大きな差が出るというわけ。

2つめは「POS分析」で、誰がどのタイミングで商品を購入したか、どんな商品が一緒に買われたかなどのデータを見える化する。街の食堂とかだと、まだ紙で管理しているところもあるからね。デジタルにすれば、天候や販促施策などさまざまな条件によって、売り上げがどう変わったかを細かく分析することができる。

3つめは「来客予測・需要予測」。これから何人のお客さまが来店するのか、どんな商品がどれくらい売れるのか。明日、明後日だけでなく、一週間後、一ヶ月後、一年後も予想できて、システムを利用しているクライアントでは90％以上の平均的中率を誇っているそうだよ。

「アンケート分析」だよ。それも紙とExcelではなく、デジタルで取ったアンケートをAIで分析し、サービスや商品の良し悪しが分かるという。この4つの機能を備えたのが「TOUCH POINT （タッチポイント）BI」というシステムで、ゑびや食堂から独立した「EBILAB（エビラボ）」という会社で開発・販売を行っている。

義理のお父さんと対立したり、ベテラン社員から「20代の若造が来て、このお店を潰しに来た」と言われたりしたこともあったみたいだよ。でも「こうやって会社を変えていきたい。みんなの生活を良くしたい」という思いをまっすぐ伝えたところ、お父さんも理解をしてくれたみたいだね。みんなこれまでのやり方を変えたくないけど、一方でもっと儲けたいし生活も改善したいと思ってるわけだからね。

関連動画では、日本酒の蔵元の方とカフェの店舗運営をしている方が登場したけど、「このデータを見るのが習慣になっていて、なくなると正直困る」と言っていたので、新しい習慣になっているんだと分かった。一方で、それまでの習慣を変えたくない人が多いのが改革のボトルネックになっているので、「ゑびや大食堂」みたいに代替わりのタイミングを見計らうしかないのでは、と思ってしまう。そのあたりの傾向も知りたいね。