ベルシステム24グループのDX:「音声データ活用」でクライアントの売上向上にも貢献 「型化」による水平展開へ | NEXT DX LEADER

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ベルシステム24グループのDX:「音声データ活用」でクライアントの売上向上にも貢献 「型化」による水平展開へ

【40周年記念CM】「心を重ねる」谷川俊太郎 (60秒ver.)【字幕あり】 より

ベルシステム24は1982年、電話による秘書代行業務を行う会社として創業。通販の電話注文受付や自動車事故報告の電話受付などの業務受託で業容を拡大し、1997年に東証二部上場、1999年に東証一部に指定替えを行いました。

2005年に上場廃止後、何度かの企業再編を経て、2014年に伊藤忠商事が資本参加。2015年にベルシステムホールディングスに商号変更し、東証一部に再上場を果たしました。2017年には凸版印刷(現TOPPANホールディングス)と資本業務提携を締結し、2020年には合弁会社を設立しています。(NEXT DX LEADER編集部)

応対業務で得た音声活用ノウハウを資産に

ベルシステム24グループの業績は、上場後の2016年2月に大きく落ち込みました。これは、前期まで業績を支えていた旧BBコール(「Yahoo!BB」のカスタマーサポートなどを担当)の契約改定によるものです。

その後、売上収益は一貫して右肩上がりを続け、2023年2月期には1,560億円で7期連続増収を達成し、落ち込み前の水準を超えています。内訳は、アウトソーシング需要の高まりを受けた「基礎業務」が前期比4.0%増の1,330億円、「コロナ関連業務」が同26.0%増の221億円、「その他」が同12.1%減の9億円でした。

「中期経営計画2025」(2023年4月12日)より

「中期経営計画2025」(2023年4月12日)より

営業利益と当期純利益も伸びており、落ち込み前の水準は超えていないものの、2023年2月期には過去最高益を更新。2016年2月期に16.8%だった売上収益営業利益率は、2019年2月期は7.1%まで悪化しましたが、2023年2月期には9.6%まで改善しています。

ベルシステム24グループのDXの取り組みは、「中期経営計画2022 “その声で、明日をつくる”」(2020年10月)で大きく加速しました。3つの重点施策のひとつに「音声データ活用によるDX」を位置づけ、応対業務で得た音声活用ノウハウを資産にするとしています。

「中期経営計画2022」(2020年10月7日)より

「中期経営計画2022」(2020年10月7日)より

具体的には、コンタクトセンターに集約される膨大なデータからオペレーターが対応するユーザーの声をデータで抽出し、クライアント企業が独自に保有するCRMデータを掛け合わせた「音声/CRMデータ基盤」を構築。運用ノウハウに基づいた分析によって、ユーザー期待行動を生み出し、様々な課題解決につなげることを目指すとしています。

「中期経営計画2022」(2020年10月7日)より

「中期経営計画2022」(2020年10月7日)より

課題としては「優良顧客との信頼関係を基にDX推進」「音声・CRM基盤の整備によるデータ資産化」「データ分析による高付加価値の提供」「コンサル機能強化により、新たな領域での事業創出」の4つをあげています。

また、他の2つの重点施策である「社員3万人の戦力最大化(在宅ワーク増強)」「信頼と共創のパートナー成長(戦略提携の推進)」と組み合わせ、「付加価値・品質向上の提供」「新領域での事業連携創出」を進めていくとしています。

音声認識やテキストマイニングを組み合わせ

「中期経営計画2022」に即した「音声データ活用によるDX」の具体的な取り組みとして、2022年12月に「DXダイレクトセンター」の提供を開始しています。

このサービスは、コンタクトセンターにおける「電話対応ログ」を、音声認識やテキストマイニング、データ分析などの「音声データソリューション」を活用し、最適な顧客対応を実現することで、顧客の購買意欲を高め、クライアント企業のマーケティング活動や売上向上などの事業課題にダイレクトに貢献することを目指すものです。

ベルシステム24、コンタクトセンター対応ログを売上増に活用する「DXダイレクトセンター」サービス提供開始(2022年12月9日)より

ベルシステム24、コンタクトセンター対応ログを売上増に活用する「DXダイレクトセンター」サービス提供開始(2022年12月9日)より

サービスのプレスリリースには、以下のような成果の例があげられています。

  • 音声テキスト化によるFAQ等の必要資料の自動アシストを実現し、保留時間が約6%改善
  • 感情解析を活用した応対改善により顧客満足度向上、成約件数が約350件増加
  • ハイパフォーマースキル分析・可視化による全体の応対品質改善、営業アポイント獲得率が約200%向上

ベルシステム24のコーポレートサイトには「音声DXソリューション」のサービス紹介として、株式会社アドバンスト・メディアの音声認識製品「AmiVoice」や、ベクスト株式会社のテキストマイニング製品「VextMiner」とその関連システムを、ベルシステム24が提供するクラウド型コンタクトセンタープラットフォーム「BellCloud+」とともに導入することで提供される6つの機能が掲載されています。

  • 音声認識ソリューション導入:コミュニケーター応対支援、ACW(後処理)削減、エスカレーション最適化など業務標準化を実現
  • テキストマイニングソリューション導入:生産性向上、品質管理強化、FAQ整備、VOC(顧客の声)活用など効率的分析を可能に
  • 自動要約ソリューション導入:ACW削減や後工程への引き継ぎプロセスを標準化
  • 自動FAQ表示ソリューション導入:話題の遷移に応じた先読みFAQ、トークフローリコメンド機能、管理FAQ一覧機能などを使って表示を最適化
  • VOC活用と業務最適化サービス:蓄積された顧客の声を多面的に分析
  • コールリーズン分析:コンタクトセンターに蓄積されたコールデータを分析し、チャネル最適化や、呼減のための総合的施策を策定

コロナ関連業務では「AIチャットボット」を活用

「統合報告書2022」(2022年12月)には、「音声データ活用によるDX」のさらに詳しい成果の例があげられています。

コロナ関連業務では、自治体への膨大な問い合わせに「AIチャットボット」を活用して定型的な質問に24時間対応するしくみを導入したところ、チャットボットによる解決率80%以上を実現。入電量を大幅削減し、1日30万件超の問い合わせ対応を可能にする余力を創出したことにより、コンタクトセンターの応答率80%以上を実現しています。

大手生命保険会社では、コンタクトセンターへの問い合わせの電話に対して適切な保険を勧めてアポイントを獲得する業務において、問い合わせ内容をAIで分析し、ハイパフォーマーの会話をモデルとしてノウハウをマニュアル化したことにより、売上が飛躍的に向上したとのことです。

大手人材斡旋会社では、クライアント企業の新サービス利用促進のインサイドセールス業務において、AI等を活用して成約率の高い順に組み換えた架電リストを作成し、オンライン面談ツールを使った営業を行ったところ、利用ユーザー拡大が加速したとのことです。

このほか、「社員3万人の戦力最大化」においても、コロナ禍で非対面化、在宅ワークが推奨される中、BCP(事業継続)の観点も踏まえてコンタクトセンターのDXを推進。応募から業務開始まで一度も出社しない「完全在宅コンタクトセンター」を開始し、2020年2月期末に50席だった在宅席数を、2023年2月期末までに4,000席へ大幅増設しています。

ベルシステム24では2023年4月、新たに「中期経営計画2025 -NEW BPO すべての“その声”を、ふかめる、つなげる、ひろげる。-」を策定しました。アフターコロナでの経済活動の正常化、それに伴う労働市場の逼迫、人材不足による人件費上昇、顧客対応自動化の動きなどを受け、「人材」「型化」「共創」の3つを重点施策に掲げています。

「中期経営計画2025」(2023年4月12日)より

「中期経営計画2025」(2023年4月12日)より

新中計では「型化」のひとつとして、VOC(顧客の声)分析により経営指標にダイレクトに貢献する「DXダイレクトセンター」のほか、「データ活用の高度化」「AI活用」「メタバース」「CX(顧客体験)」がうたわれていますが、前中計ほどDXという言葉が前面に打ち出されていません。これは、ベルシステム24のすべての取り組みにおいて、デジタル活用が前提となる段階に入ったためといえるかもしれません。

YouTube:【40周年記念CM】「心を重ねる」谷川俊太郎 (60秒ver.)【字幕あり】

考察記事執筆:NDX編集部

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