リゾートバイトに特化した人材サービスを行うダイブ スタッフを支え「一生モノの“あの日”を創り出す」営業担当を募集
リゾートバイトダイブ「みんな私の仲間です。」あゆかさん・与那嶺対談 より観光施設向けに人材派遣や人材紹介を行うダイブは、2002年の創業以来「リゾートバイト」に特化した人材サービスを行っています。「観光」を日本経済の成長エンジンと捉え、さまざまな課題を解決すべく事業を展開しており、2024年3月には東証グロース市場への上場を果たしました。
コロナ禍の苦境を脱し、インバウンド(訪日外国人)観光客の増加の追い風を受ける同社は、いまどのようなポジションで、どのような人材の採用を強化しているのか。同社人事本部長の佐々木義郎さんに話を聞きました。(構成・文:水野香央里)
「人生を変えたい」若者に人気のリゾートバイト
――御社はいまどのような事業を行っているのですか。
大きく分けて2つの事業を行っています。基幹の観光HR事業は、観光施設特化型の人材サービス「リゾートバイトダイブ」を中心に展開しています。これは全国のリゾートホテルや旅館、飲食店・テーマパーク・レジャー施設・スキー場などの観光施設に対し、 人材派遣や人材紹介を行うサービスです。
現在、自然豊かな地方の観光地で人手不足が深刻化し、観光ニーズはあるものの働くスタッフが足りないため十分にサービスが提供できない、という大きな問題が生じています。一方で、例えば都市部在住の方が地方の新たな環境で働きたい、というニーズもあります。
「リゾートバイトダイブ」では、このような観光事業者と働き手をつなぎ、それぞれの課題解決を支援するサービスを提供しています。観光HR事業は、2024年6月期の売上高123.6億円 の9割超を占めています。
地方創生事業は、2019年から始まった新規事業です。非観光地の地価が安く好立地な遊休施設を賃貸借契約し、グランピング施設やスモールホテルの企画・集客・人材確保をして運営を行うアセット活用型の事業を行っています。
この事業は観光客の訪問地域の偏りという課題解決を目指しており、これまでに北海道の芦別や栃木県の鹿沼など6つのプロジェクトを創出しました。5年間の年平均成長率は300%を超える成長を果たしています。
――働き手の人にとってリゾート地で働くことは特別な体験になりますね。
リゾートバイトは、その土地に住んで働くことを通じて、地域の魅力や文化を体験できるところが魅力です。北海道出身者が沖縄で半年ほど働くケースもありますし、東京の方が東北地方や九州地方で数カ月ずつ働くケースもあります。
他のアルバイトとの大きな違いは、働く場所を変えることで、生活環境や人間関係の全てが新しい挑戦になることです。未知の体験は、今まで知りえなかった選択肢と出逢い、その後の人生に大きな影響を与える可能性があります。この点が「新たな体験がしたい」「人生を変えるきっかけが欲しい」と考える若者を中心に人気がある理由といえます。
最近は若者だけでなく、日本で働いてみたい外国人や、シニア世代の方も増えています。そういったさまざまなニーズを持った方々と観光施設とをつなぎ、サポートしていくのが私たちの仕事です。
――住む場所は自分で準備する必要があるのでしょうか。
基本的に観光施設に従業員寮を準備してもらいますので、寮費は無料です。また交通費は当社が負担します。月々の電気代やガス代、水道代や食事も基本的には無料なのでリゾートバイトをしてみたいけど費用が不安、といった方も安心して始められるようサポートをしています。
営業担当の仕事は「スタッフを支えること」
――現在御社では、中途採用でどのような人材を求めていますか。
「リゾートバイトダイブ」の営業担当者の採用に注力しています。人材を必要としているリゾート施設と、リゾート地で働きたい若者とをつなぐ仕事で、観光施設から悩みを聞き、適切な人材を派遣・紹介する提案営業を行います。
あわせて、派遣するスタッフさんへの仕事の紹介を行うのですが、リゾート地で新しい「挑戦」をするスタッフさんは、抱える悩みやぶつかる壁も大きなものになりがちです。そんなとき社員がどう向き合ってケアをするかはとても大切で、「良きお兄さん、お姉さん」として新しい挑戦に伴走する役割も求められます。
スタッフさんは一期一会で出会った方であり、働いている期間が人生のターニングポイントとなるように、しっかりとサポートしてあげたい存在になります。社員もお節介な人が多く、サポート好きの人が多いですね。
――前職は派遣会社で働いていた方が多いのでしょうか。
人材ビジネスの出身者は、あまりおりません。世界を旅していたとか、スポーツで日本チャンピオンを目指していたといった、少し特殊なルートを歩んできた人が多いことは、当社の特徴と言えるかもしれません。
営業担当は、多いときには1人で約100人ものスタッフさんを担当することもあり、負担は小さくありません。しかし、自分自身に原体験となる人生の大きな転機があり、そういう瞬間を今度は自分が届けたいという気持ちを強く持っていれば、共感を持って粘り強くスタッフさんを支えることができます。
――営業にはクライアントの新規開拓の仕事もあるのでしょうか。
当社のクライアントは4,600カ所にのぼり、全国の主要な観光施設はすでに何らかの接点を持っているので、開拓というより最新の課題を聞き取る形になります。一方、いまは人手不足が深刻で、スタッフ派遣の依頼をいただいてもお応えできない場合も多く、スタッフさんが安定して定着するための働きかけの比重が高くなっています。
例えば、スタッフさんの働く期間の満足度の高いものにするために、クライアントに対して寮の設備や教育などについて「ここをこうしてもらえれば定着率が上がります」といった施策を提案する営業もスタイルが多いです。
「あの日」とは人や地域が好転したターニングポイントとなる瞬間
――御社の事業や仕事のあり方は、ビジョンやミッションにも反映されていると思いますが、どのような内容でしょうか。
当社のビジョンは「誰もがジブンの人生を愛せる世界へ。」というものです。誰もが自分の人生を生き、そこで巡り合う苦難や感動、挫折にも意義を見出し、その人生を心から愛せるような世界を目指しています。
ミッションは「一生モノの“あの日”を創り出す。」で、「あの日」とは、人や地域が好転した瞬間を指しています。いつか自分の人生を振り返ったときに、「あの日・あの日々は一生モノだった」と言える、かけがえのない経験や時間、思い出を届けることを、会社が果たしていきたい役割としています。
これに加えて、それぞれのサービスに対する各事業部の思いを「事業部WAY」にまとめています。観光HR事業の事業部WAYは「移動体験を通じて気づき・学び・成長につながる『あの日』を創出する。人流を創り出し地方地域・宿泊や観光施設の人材課題を解決し、地方創生のきっかけとなる『あの日』を創出する。」というものです。
――採用基準にもそのような視点を盛り込んでいるのでしょうか。
社員を採用する際には、その人自身が「あの日」、つまり「人生のターニングポイントを経験しているかどうか」を判断させてもらっています。例えば、新たな挑戦を機に新しい自分を発見した、辛いときに寄り添い救ってくれた人がいて自分が変わることができた、などといった体験です。
そういった原体験がないと、スタッフさんへの対応がルーティン的になってしまいかねません。「この人の人生をなんとかしたい」という人間的な思いがあることが一番大切かな、と思っています。
スタッフさんの三歩先の課題を解決するためには、自分自身や周囲の感情を丁寧に察知して、デリケートに人の心を導ける人である必要があります。そのためには、高い自己開示能力と関係性の構築能力が必要なのはもちろんですが、EQ力(心の知能指数を測る指標)も大切だと考えています。
ただし、エンジニアなどの採用に当たっては、これまでの開発経験などのテクニカルスキルをメインに採用を行っていますし、すべての職種でEQを重視するわけではありませんが、ビジョンやミッションの説明を行い、共感してもらえる人を採用しています。
離島の施設に泊まり込みで出張することも
――求める人材像は、具体的にどのようなものになりますか。
「利他的なマインドを持って、他人を思える方」を求めています。新卒採用では5,000名を超えるエントリーがありますが、このポイントは特に強く見ています。過去に人生のターニングポイントがあって、そこで成長し、誰かを支えたいという思いがあるかどうかを、採用では一番に考えています。
本当の意味で価値を届けるためには、自分本位ではなく、仲間を思う気持ちや、お客様に価値を届けたいという気持ちが大切です。人間的なハートの成長がないと、価値を届けられず仕事が辛くなってしまうと思います。
「人を思えるかどうか」は、人事制度の中でも評価項目として置いています。どれだけ数字を上げても、お客様や仲間を思えなければ会社は評価しないということです。それくらい「人を思える」ことを大切にしているのが、ダイブという会社です。
――全国に拠点を置いているのは、スタッフのケアも丁寧に行っているからなのですね。
リゾート地の観光施設は全国にあるので、札幌、仙台、大阪、福岡、沖縄にある当社の拠点の社員が、出張してスタッフさんやクライアントに会いにいきます。北海道の利尻島や礼文島まで、フェリーを使って1泊2日で会いにいくこともあります。
リゾートバイトは「初めて訪れる土地で、初めて出会う人たちに囲まれ、初めての仕事を体験する」という特異な経験になりますので、若者のメンタルをタフに育て、多様な価値観と豊かな人間性を育む側面があります。
そのような意味で、リゾートバイトの営業は、スタッフさんの人生のターニングポイントを預かる仕事でもあります。もしも途中で辞めることになったら、その人は「どうせ私は地元を出ても通用しないんだ」と思い込むことにもなりかねません。
そうなってしまっては、私たちはスタッフさんの「あの日」を作るどころか、反対に人生の選択肢を狭めてしまうことになります。その数カ月の体験が自分自身を膨らませてくれて、「自分はもっとできるんだ」「好きなことにもっと挑戦したい」といったターニングポイントとなる「あの日」を作りたいという思いがあります。
社内ベンチャー「New-1グランプリ」で新規事業を募集
――入社後、通常業務以外で行うイベントのようなものはありますか。
社員同士のつながりを作る場は、意識して設けています。週の始まりの月曜日には、会社全体で「ウィークリーキックオフ」を行っています。みんなが手をあげて「こんな素敵なことがあった」「こういう“あの日”を創った」と話していくことで、周りの人の思いをお互いに知る場になっています。
また、3カ月に1度、社内で表彰式を行って社内の仲間を称え合う機会を設けています。年に1度の全社総会の表彰式では、受賞者は抱き合ったり涙を流したりして喜びを分かち合っている姿は印象的です。 社外の人から見るとちょっと引いてしまうかもしれませんが、この動画は新卒採用の説明会であえて見てもらう機会を設け、会社の雰囲気を感じてもらっています。
入社後の成長角度を高める施策も行っています。社員全員が社歴や部署に関係なく新規事業を提案できる「New-1グランプリ」という社内ベンチャー制度もそのひとつで、これまでエントリーしたメンバーの9割は入社3年未満の若手社員です。地方創生事業は、この制度での提案から事業化されました。
ほかにも、既存の事業を加速して1から10にしていくアイデアを募集する「ワンテングランプリ」などのイベントを行っています。
――ミッションにある「あの日」を軸に、人の熱量を引き出す経営をされているように見受けられます。
キャリア採用においては、実際に社員に会ってもらうことを大切にしています。当社の人的資源はとても強いと思っており「熱くていい仲間」が多いです。会社のビジョンやミッション、事業部WAYを体現している社員と話を交わすことで、自分もここで働きたいと思ってもらえる仲間を募集しています。