ベネフィット・ワンのDX:自社プラットフォームで「企業のHRDX」を支援 ITエンジニアの内製化8割目指す
【公式】ベネフィット・ワンCM「給トク×Netflix」篇 30秒_WEB版_23年12月改訂 よりベネフィット・ワンは1996年、福利厚生・コストダウンサービスを提供するパソナ社内ベンチャー第一号企業のビジネスコープとして設立され、1998年からカフェテリアプラン事業を開始。2001年に現在の社名に変更しました。2006年に東証二部上場、2018年に東証一部(現プライム)に市場変更しています。
2000年代から企業買収によって事業領域を拡大し、2010年代からは海外拠点を相次いで設立し、現在は中国・米国・シンガポールなど7カ国に連結子会社を置き、国内サテライトオフィスを9カ所に設置しています。2023年12月からは第一生命とエムスリーとの間でTOB(株式公開買付)の争奪戦が行われています。(NEXT DX LEADER編集部)
「職域を中心とする会員基盤」が強み
サステナビリティレポート(2023年11月15日)によると、ベネフィット・ワンは「職域を中心とする会員基盤」と「サービスサプライヤのネットワーク化」を進め、マッチングの仕組みを作ることで「企業の経営課題解決」や「消費者の利用満足度向上」に資する事業を展開しています。
中間工程を省いたサービス流通インフラを構築し「卸値価格により、市場最安値でのサービス提供」を目指しており、会員制サービス事業の単一セグメントにおいて6つの事業を行っています。
中核事業の「福利厚生・パーソナル・CRM事業」は、顧客企業が会員制「ベネフィット・ステーション」に入会することで、提携するサービス提供企業の運営する福利厚生メニューを顧客企業の従業員が割引価格で利用できるサービスを提供しています。
また、顧客企業の従業員にポイントを付与し、その範囲内でニーズに合わせた福利厚生メニューを選べる選択型福利厚生制度(カフェテリアプラン)の精算事務の代行も行っています。
「インセンティブ事業」は、企業のロイヤリティ・モチベーション向上施策支援として、報奨ポイントの発行・管理運営・ポイント交換アイテムを提供するサービス。「ヘルスケア事業」は、健康保険組合などから受託した健診サービスやワクチン接種支援など従業員の健康支援をワンストップで提供するサービスです。
このほか、近距離交通費や出張旅費、接待交際費の精算サービスを提供する「購買・精算代行事業」、提携先の割引サービスを給与天引きで決済する「ペイメント事業」、海外連結子会社9社におけるインセンティブ事業を中心とした「海外事業」を行っています。
2023年3月期の連結売上高は423.7億円、営業利益は104.8億円、営業利益率24.7%で12期連続の増収増益を果たしました。セグメント別では「福利厚生・パーソナル・CRM事業」が売上高の65.2%、営業利益の87.8%を占めています。
人事がワンストップで利用できるBPOサービス提供
ベネフィット・ワンは2023年5月発表の「新・中期経営計画および今後の成長戦略」で、中核事業について「福利厚生会員の拡大・利用促進」(従業員会員数1,800万人、年間利用率50%)を掲げています。
加えて、「決済事業の収益化」(年間利用額800億円、年間売上高12億円)と「ヘルスケアサービスの拡大」(健診受信者数153万件、特定保健始動初回面談数38万件)を重要指標に掲げ、「BtoE(Business to Employee)プレイヤー」としての立ち位置をより強固にするとしています。
ベネフィット・ワンが提供するサービスは、クライアント企業の人事領域の「HRDX」を支援しています。「ベネワン・プラットフォーム」では、企業の福利厚生だけでなく、報酬制度や教育研修、健康分野、金融、給与、ガバナンス強化といった領域について、ワンストップで利用できるBPOサービスを提供しています。
企業サイトによると、ベネワン・プラットフォームでは主な機能として「ストレスチェック」や「健康管理室」「ライフスタイル調査」「タレントマネジメント・人事評価・異動シミュレーション」「ワークリフォームサーベイ」を備えています。
また、「残業状況や有休取得状況等の可視化」「健康ダッシュボード(長時間労働グラフの可視化)」「健診受信率・面談実施率の可視化」「検温アンケート結果の可視化」「ワクチン接種予約管理」といった、調査結果の効率的な取りまとめと可視化を実現します。
このサービスの特徴は、給与天引き決済サービス「給トク払い」などベネフィット・ワンが提供するサービスのほか、ERPパッケージの「ProActive」、労務管理サービスの「SmartHR」、サーベイツールの「META WORK LIFE」といった外部のHRTechと連携できる点で、従業員一人ひとりのデータを一元管理し蓄積することが可能になります。
内製化でスピードアップとノウハウ蓄積図る
「サステナビリティレポート」によると、ベネフィット・ワンは「デジタル化の推進」として、福利厚生事業における会員向けガイドブックや会報誌、会員証等のデジタル化により、紙資源の消費や配送にかかるエネルギー商品の削減を進めています。
あわせて、サービス流通やオペレーションプロセスにおけるデジタル化を進め、ペーパーレス化にも全社的に取り組んでいるとのことです。
また、ベネフィット・ワンは「ITエンジニアの採用強化」を進めており、中長期でシステム開発・運用の内製化を進めることで、サービス品質の向上とコスト効率化に取り組んでいます。
ITエンジニアの内製化比率を、2022年度末の26.7%から2025年度末に80%以上の目標を掲げ、コスト効率の向上やサービス開発・改良のスピードアップ、技術・ノウハウの内部蓄積を図るとのことです。