ノーコードの先駆者ヤプリ、通期黒字化達成で新たなステージへ 事業多角化で幅広いポジションの人材を募集 | NEXT DX LEADER

NEXT DX LEADER

ノーコードの先駆者ヤプリ、通期黒字化達成で新たなステージへ 事業多角化で幅広いポジションの人材を募集

ヤプリ ピープル&カルチャー本部 人事部 マネージャーの串原研斗さん

ヤプリ ピープル&カルチャー本部 人事部 マネージャーの串原研斗さん

ヤプリは、ノーコードのスマホアプリ開発サービスの先駆的存在として2013年に設立されました。2020年12月に東証マザーズ(現グロース市場)に上場し、現在は750社以上に導入され累計2.6億ダウンロードを突破。国内ノーコード分野で売上シェアNo.1を誇っています(2024年度デロイト トーマツ ミック経済研究所調べ)。

近年は先行投資フェーズを超え、事業領域を広げて従来のイメージを大きく変えようとしています。そんな同社では、いまどのような事業を強化し、どのような人材を求めているのか。同社 ピープル&カルチャー本部 人事部 マネージャーの串原研斗さんにお話をうかがいました。(文・構成:キャリコネニュース編集部)

主力の「Yappli」を軸にプロダクトや事業領域を拡大中

ヤプリ ピープル&カルチャー本部 人事部 マネージャー 串原研斗:立命館大学卒業後、レバレジーズ株式会社にて介護派遣事業の拠点立ち上げや人材開発に従事。その後、IT企業でエンジニア採用支援事業のマネージャーを務め、2021年に株式会社ヤプリへ入社。新卒採用の立ち上げや中途採用を担当し、現在は採用・組織開発部門のマネージャーを務めている。

ヤプリ ピープル&カルチャー本部 人事部 マネージャー 串原研斗:立命館大学卒業後、レバレジーズ株式会社にて介護派遣事業の拠点立ち上げや人材開発に従事。その後、IT企業でエンジニア採用支援事業のマネージャーを務め、2021年に株式会社ヤプリへ入社。新卒採用の立ち上げや中途採用を担当し、現在は採用・組織開発部門のマネージャーを務めている。

――御社は現在どのような事業を行っていますか。

「デジタルを簡単に、社会を便利に」というミッションのもと、企業のデジタル戦略を支えるSaaSプラットフォーム事業を展開しています。主力プロダクトには、ノーコードアプリ開発プラットフォームの「Yappli(ヤプリ)」のほか、顧客管理基盤の「Yappli CRM」、今年リリースしたWeb構築プラットフォーム「Yappli WebX」があります。

「Yappli」は、ノーコードで企業の公式スマホアプリを開発・運用できる主力事業です。プログラミング知識不要で、ドラッグ&ドロップの直感的な操作で多様な機能を追加できるのが特徴です。

会員アプリや販促アプリなどとして、会員証やプッシュ通知、クーポン、予約、EC連携など、顧客接点に必要な機能を実装できます。小売や飲食、アパレルなどの大手チェーンを中心に750社以上に採用いただき、累計ダウンロード数は2.6億件を突破しています(2025年10月時点)。

「Yappli CRM」は、顧客データ統合・管理プラットフォームで、アプリ上の顧客行動・属性情報を統合して可視化できます。セグメント分けした顧客ごとに最適化された施策の出し分けが可能で、「Yappli」と一体化して使うことも単体で導入することも可能です。

「Yappli WebX」は2025年にリリースした新プロダクトで、ノーコード+AIによる企業向けWeb構築・運用プラットフォームです。AIによるレイアウト自動提案やコンテンツ生成機能を搭載し、コーポレートサイトやブランドサイト、キャンペーンページなどを直感的に作成できます。

「Yappli」「Yappli WebX」を1つの基盤で管理し、現場担当者によるWebとアプリ双方の同時更新を可能にし、クロスチャネル運用の省力化・スピード化を実現します。

Yappliの3つのプロダクト

Yappliの3つのプロダクト

――ヤプリといえば「ノーコードのアプリ開発プラットフォーム」のイメージが強かったのですが、いまは領域が広がっているのですね。

プロダクトの進化により、事業領域も広がっています。「Yappli」の単一プロダクトから「Yappli CRM」「Yappli WebX」に広がりました。これら複数のプロダクトにより、企業はアプリとWebを単一の基盤で一元管理し、顧客接点(CX)を最適化するクロスチャネル運用を実現できます。

また、プロフェッショナルサービスも展開し、導入・制作段階におけるデザインや仕組みの構築といった制作支援と、アプリ公開後のマーケティング活用における成長支援を包括的に手掛けています。

さらに、従来の「CX(顧客体験)」の強化に加え、「EX(従業員体験)」の強化にも注力し、従業員向けアプリという新たな市場開拓に挑戦し、組織エンゲージメントを向上させる社内エンゲージメントアプリ「UNITE by Yappli」をその核となるサービスとして展開しています。

自社サービスを日常業務で活用し改善につなげる

――現在御社はどのような戦略方針を掲げているのでしょうか。

トップライン(売上高)の成長はもちろんですが、利益も大事にしていく「バランスドグロース」の経営戦略を採っています。

2020年12月の上場以降、先行投資を優先して赤字が続いていましたが、2023年度に営業黒字化、2024年度には通期で最終利益が黒字に転換しました。今後は継続的な成長と利益体質の両立を目指し、生み出したキャッシュを新規事業の投資やM&Aなどに活かしていくフェーズになっていくと考えています。

ヤプリの進化と成長イメージ(2025年12月期 決算説明資料より)

ヤプリの進化と成長イメージ(2025年12月期 決算説明資料より)

――最近「UNITE by Yappli(ユナイトバイヤプリ)」という新しいサービスを展開していますが、これはどういうものですか。

先ほど申し上げた企業のEX強化を担う中核サービスが、この「UNITE by Yappli」(UNITE)です。「Yappli」「Yappli CRM」を活用した、社内エンゲージメント向上に特化したアプリです。2023年に社内報アプリ「Yappli UNITE」として提供開始したサービスを社内エンゲージメントアプリへと進化させ、2025年10月にブランドリニューアルをしました。

経営メッセージや企業方針をコラムや動画、ポッドキャストなど多様な形式で配信する「伝わる」機能と、社員同士のコミュニケーションを促進する「つながる」機能、いつでもどこでも学習できる環境を提供する「学べる」機能の3つで構成しています。

自社プロダクトを社内アプリとして活用(2025年12月期 決算説明資料より)

自社プロダクトを社内アプリとして活用(2025年12月期 決算説明資料より)

当社では、自社で開発した製品やサービスを社員自身が実際に使い、日常業務や社内テストで活用する「ドッグフーディング」という手法を採っています。この「UNITE」「Yappli Hang Out(ヤプリ・ハングアウト)」という名称で社内活用し、アクティブ利用者率は9割を超えています。

経営層や各部門長からの発信、メンバーのプロフィール、ありがとうを贈り合う「サンクスカード」など、多岐にわたる機能を実装しています。七夕やファミリーデー、新規事業の立案コンテストなど社内イベントもすべてこのアプリと連携しています。

エンジニアを中心に、事業拡張フェーズを支える人材採用を加速

――現在どのような採用に注力していますか。

キャリア採用は全方位的に展開しており、攻めと守りをバランスよく採用を進めていく考えです。既存事業では事業が停滞しないよう補填的な採用を着実に行い、引き続き売上をしっかり伸ばしていきます。

アプリを活用したマーケティング支援やYappli WebXなどの新規領域では、事業の立ち上げ・拡張フェーズを支える人材が不可欠です。この領域の採用は特に今年から強化しており、今後のキャリア採用の中心になると考えられます。

同時に、事業多角化の進展に伴い、M&Aによる子会社化や新規事業展開によるグループ体制の構築が具体的に発生しています。そのため、連結経営体制の整備や、グループガバナンスを強化するためのコーポレート体制の準備を引き続き重点的に行っていきます。

また、当社はこれまで中途採用を中心に、専門性の高い人材を着実に迎えてきました。一方で今後の多角化を考えると、当社のカルチャーをともに築き、将来の幹部候補にもなりうる新卒採用も強化していく方針です。

プロダクトを支えるヤプリの組織

プロダクトを支えるヤプリの組織

――特に注力している具体的な職種はありますか。

当社の事業多角化、特にマルチプロダクト展開を支えるため、キャリア採用は全方位的に展開していますが、特に以下の職種を強化しています。

1つ目は、サーバーサイド、フロントエンド、Android/iOSなど、多岐にわたるエンジニアです。新規プロダクト「Yappli WebX」の開発強化に加え、既存のプラットフォームにおいても、クロスチャネル連携やAI機能の強化など、技術的な挑戦が多方面で加速しており、各領域で即戦力となるプロフェッショナルを求めています。

2つ目は、デリバリーからサクセスまでを担う顧客支援組織の職種です。これは、セールスが受注した後のアプリ制作・導入フェーズを担うディレクターやデザイナー、そしてアプリ公開後の運用を通じた顧客の成果創出を牽引するカスタマーサクセスマネージャー(CSM)を含みます。

採用は自社の「バリュー」に対する親和性を重視

――職種共通で求められる人物像はありますか。

BtoBtoC(企業向けにサービスを提供しながら、その先のエンドユーザーである消費者の体験まで意識したビジネスモデル)のアプリ開発のプラットフォーム事業、クライアントや顧客への価値への共感は、とても大切にしている要素です。

また、「デジタルを簡単に、社会を便利に」という会社のミッションや、「感動体験」「再構築」「カスタマーサクセス」「チームドリブン」「ゼロトゥワン」といった当社バリューに対する親和性も大切にしている要素になります。

こうした価値観に共感し、当事者意識を持ったプロ意識を持った方、協調性を持ち、チームで推進することに共感をしてくれる方を歓迎しています。特にスタートアップでは変化は当たり前なので、柔軟性や挑戦ができるという気概を持った方と一緒に、次のヤプリを作っていきたいと考えています。

ヤプリが重視する「5つのバリュー」

ヤプリが重視する「5つのバリュー」

――基本的なスキルセットについてはいかがでしょうか。

最終的な配置や採用の決定は、専門性やスキル、特性によると考えていますが、人物像の要件を満たす中で、既存事業に向いているのか、新規事業に向いているのかで分かれます。

既存事業では、既存の枠組みやプロセスを理解し、デリバリーができる力に加え、何かしらの付加価値を提供できるスキルを持っていることが求められます。一方、新規事業の場合は、「ゼロ・トゥ・ワン」を実現できるスキルで、行動や挑戦を厭わず、型が決まっていない状況や変化を楽しみ、自律的にプロジェクトを推進できる方です。

入社後は3か月間の「オンボーディングプログラム」を実施

――キャリア入社組の活躍を支援する取り組みはありますか。

新たに入社した人たちが活躍しやすい環境づくりに重きを置いています。社内で「YOP」(Yappli Onboarding Program、ヨップ)と呼んでいるオンボーディングプログラムがあり、職種を問わず入社3か月間で「Yappli」を活用したアプリ制作含む全本部の研修を受けてもらい、社内の職種や部門を知る機会を設けています。

また、研修だけでなく、メンターを必ず1人つけることによる支援もしております。メンターには「社内の人をつなぐこと」「フリーの相談役として会社や仕事の不明点を解決するサポートをすること」という役割を担ってもらっています。

なお、プログラムが終了すると、全社が集まる場で「YOP発表」を行います。そこでは、3か月間でやってきたことを含めて、あらためて人となりを紹介してもらい、社内の人間関係の構築と相互理解が進むよう促しています。

ちょっと変わったところでは、YOPの3か月間に「バトンランチ」という社員同士をつなぐランチ施策があります。ある社員とランチをしたあと、その人から次のランチ相手を紹介され、リレー形式で社内のさまざまな人と交流していく制度です。社内での人脈づくりや企業文化への理解促進に役立っています

全社員を対象として、毎月全社定例の報告会の後に会社のラウンジで軽食やドリンクを用意した懇親会を開催しています。部活動への補助も毎月支給しており、仕事以外の自発的なつながりづくりも支援しています。こうしたコミュニケーション施策に予算を投じており、仕事だけではなく社員の居場所作りも大切にしています。

ヤプリの東京オフィス(港区六本木)の様子

ヤプリの東京オフィス(港区六本木)の様子

――キャリア形成支援についてはいかがでしょうか。

「自分のキャリアは自分で主体的に築き、納得できる選択を行い、自己成長を追求していく」というキャリアオーナーシップの考え方に基づいた「キャリアデザイン面談」を定期的に行い、自らのキャリアについて上長と対話できる機会を設けています。

目標設定には「挑戦的でワクワクする目的(Objective)を掲げ、その達成度を測定可能な成果指標(Key Results)で具体的に追いかける」OKRの視点を取り入れつつ、会社の目標と個人の目標を柔軟に結びつけ成長を後押しします。

評価は個人の成果だけでなく、会社やチーム、バリューへの貢献性、規律や勤怠といったトータルな形で行っています。このようなサイクルを回すことで、より成長しやすい環境づくりに寄与しているのではないかと考えています。

「多様性のあるカルチャー」が魅力のひとつ

――御社の魅力を候補者にどのように訴求されていますか。

ヤプリの魅力は、「上場企業としての安定基盤」「成長フェーズならではの挑戦機会」を両立している点です。カルチャー面では、バリューに根差した組織の一体感と人の良さがあります。年齢や社歴に関係なく、成果と組織貢献に基づいて評価されるフラットな環境です。

当社の従業員数は280人ほどの規模ですが、女性社員が4割ほど占めており、新卒入社の若い社員から50代のベテランまで年齢層も幅広いです。プライベートで育児や介護をしている方など、さまざまな環境を持った方々が働いていますが、そこに対する支援が整っています。

例えば当社には、結婚・妊活・出産・育児などライフステージごとの従業員や家族を幅広く支援する「リリィ(lily)制度」という福利厚生制度を設けています。一般的な育休・産休制度のほか、上限50万円の妊活・不妊治療の費用補助や特別休暇、外部相談窓口の設置、結婚休暇や結婚祝い金などがあります。

働く人たちの生活を支援する「lily制度」

働く人たちの生活を支援する「lily制度」

このような制度が実態として機能しているので、仕事に挑戦しながらキャリアを作りつつ、プライベートもしっかりと担保できる会社です。上場企業としての安心感もありますし、バランスのよさで入社を決めてくださる方が多いと感じています。

採用活動にあたっては、人事や各部門長が候補者体験(CX)を大切にし、ヤプリへのエンゲージメントを高めていただくことを心がけています。たとえ入社に至らなくても、当社の事業や社員に共感し、応援してくださる方を増やすことが、将来的な企業成長とブランド力向上につながると考えているからです。

この姿勢こそが、ヤプリの採用における競争力であり、企業文化そのものだとも考えています。

YouTube:

考察記事執筆:NDX編集部

の再生回数推移