『鎌倉殿の13人』Twitterトレンドを席捲し続けた傑作大河を振り返る | キャリコネニュース - Page 2
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『鎌倉殿の13人』Twitterトレンドを席捲し続けた傑作大河を振り返る

最終回のサブタイは「報いの時」。義時のこれまでの行動を踏まえた上で考えれば、この「報い」が何を意味するかは考えるまでもない。

史実において義時の死についてはあまり判然としない部分もあるが、本作では3人目の妻である、のえ(演:菊地凛子)が毒を薬と称して何度も服用させ、さらにこれを薬を飲もうとするも、姉の北条政子(演:小池栄子)に阻まれる、というショッキングな最期だった。

文字だけで表すと政子が悪女のように感じられるが、本作では、義時にもうこれ以上(鎌倉のためとは言え)非道を重ねさせないため姉として引導を渡す、という形で描かれた。そして死に際の義時が、かつて伊豆で家族仲良く暮らしていた頃のような声色で「姉上」と発話すると政子は落涙するのであった。

本作の主役である義時は一貫して初登場時から、女性の扱いが下手な男として描写されてきた。男同士の軋轢や陰謀にはすぐに目ざとく気付くが、女相手にはそれが機能しない。最終回でもそれは徹底されており、のえに毒を盛られていても、医者にかかるまで気付くことすらなかった。

その不器用な義時をずっと見てきた政子が義時にとどめを刺すことになるのは残酷だが、そうなっても仕方がないほどの因果が義時には十分にあるため、この報いは極めて正当で、道理にかなっている。

ドラマは、こと切れた義時に寄り添いながら泣く政子を映しながら、エンドクレジットに移行する。無音のまま、黒地に表示されるテロップ。しかしよく聴けばずっとその後ろで政子のすすり泣きが漏れている。

そして表示される「完」の文字。義時の「報いの時」は、こうして表現され、ドラマは終わった。三谷幸喜脚本の大河ドラマは今回で3作目。毎度印象的な作品に仕上がって人気も高いが、この完結のさせ方も非常に印象的だった。

そもそも一般的な認知度が高い戦国時代ではなく、鎌倉時代を舞台にした本作。ともすれば注目度も低いのではないか? と放映当初こそ心配したが、ふたを開けてみればそれも杞憂だった。

毎週、放送直後には「トキューサ」などの作中ワードがTwitterでトレンド入りを果たすほど話題をさらい続け、関連イベントもかなり注目されてきた。『吾妻鏡』など複数の文献から引用した登場人物のエピソードもツボを押さえて反映されており、さらにキャストがしっかり演技をしてくれるのでのめり込めた。歴史ファンにも、演者のファンにも、三谷ファンにも、三方良しな大河ドラマだったというのが、最終回を見終えた僕の感想である。

善児(演:梶原善)などのオリジナルキャラもいい仕事してて邪魔に感じられなかったのもデカい。そうじゃない大河も過去にはあるので……。

来年の主役が顔見せ!これも三谷流の心遣いか

さて、この最終回の冒頭では、松本潤が扮する徳川家康が『吾妻鏡』を読むシーンが登場した。言うまでもなくこの家康とは、来年1月8日に放送スタートとなる次回大河ドラマ『どうする家康』の主人公である。

ここで松潤の家康を出しておくことで、次の大河への導線をまず用意しておき、そこから本編につなげるという構図。こうした次作への橋渡しって、三谷脚本では過去にも前例がある。

2016年に放映されていた大河ドラマ『真田丸』では、終盤に主人公の真田信繁(演:堺雅人)らが最終決戦直前に敵対する徳川軍の中に、自分たちと同じ赤備えの一門がいることを認めるシーンがある。

その相手方の赤備えの面々こそ、2017年放映となる『おんな城主直虎』でフィーチャーされる井伊家と言う形になっていた。

わざわざそこに言及することで、視聴者にとっても「次の大河、あの敵方の赤備えの一族の話なのか。ちょっと楽しみだな」となるため、個人的には印象に強く残っていた。

今回も家康が登場したことで、歴史に全く興味がない視聴者にも(そんな人は大河観てないかもしれないけど)、「今日最終回になる大河の、さらに後の時代の話が来週からスタートするんだな」とすんなり時系列を理解させることが出来る。こういう心遣いって大河ファンにはありがたいものなのだ……。

『鎌倉殿の13人』は、一般的にはあまり馴染みのなかった北条の面々やそれに敵対した平家、木曾、比企らの認知度をかなり高めることに貢献したはず。こうして歴史上の面々が鮮烈に描かれるのを観るのは楽しい

ましてや来年は徳川家康が主人公。知名度抜群なのだ。戦国時代の最終勝利者の活躍を追いかけることで、きっとますます日本史を楽しめるようになるはず。第1話のサブタイトルは「桶狭間でどうする」なので、いきなり激しい合戦シーンを観ることも期待出来る。

来年もNHK総合の大河ドラマからも、目が離せない!

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