スマスロ不評でパチンコホールは大淘汰時代に突入 なぜこんな事態に? | キャリコネニュース
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スマスロ不評でパチンコホールは大淘汰時代に突入 なぜこんな事態に?

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僕はパチンコに関する記事を書くことが多い。先日も業界大手企業の社会貢献についての取材記事を完成させたばかりであるが、パチンコ業界というのは、僕から言わせれば話題にする甲斐のあるネタに尽きない業界。面白い取り組みをするホールも多いし、建前だけでなく、ガチで地域に貢献しているホールもある。

有体に言えば嫌われ者企業だけど、「こんなに世間から嫌われてるのに、企業として慈善事業を実に熱心にやっているグループもあるなんて」と感嘆するところである。そんなパチンコ業界だが、現状相当追い詰められているようだ。(文:松本ミゾレ)

「資金力の乏しいパチンコホールの脱落がこれから本格化」

先月、東京商工リサーチが2022年のパチンコホールの倒産が39件で過去10年で最多を記録したと発表した。

パチンコホールの「閉店」ではなく「倒産」なので、これはグループがもろとも撤退してしまったということ。現在では大手であっても店舗を減らす選択をする時代なので、純粋な店舗の撤退数で言えば、かなりの規模になる。

東京商工リサーチの発表では、昨年11月に導入されたメダルレスのパチスロ機、通称スマスロが導入されたものの、新規客が目論見通りに増えていないと指摘している。あわせて今年の4月からはスマパチと呼ばれる出玉不要機も導入となるが、これについても「サーバーやユニット交換、工事など多額の投資が必要で、資金力の乏しいパチンコホールの脱落がこれから本格化するとみられる」と後ろ向きの見解を見せている。

僕もおおよそ同じ意見だ。スマスロは今年に入ってようやく僕もいちユーザーとして触ることが出来たが、正直そこまで革新的なものを感じない。というかさっぱり新鮮味を感じなかった。期待外れと言うか。恐らくホール関係者も大体似たような感想を抱いているはず。

純粋に面白くないというのが第一にあるが、それ以前にある程度の投資やリトライありきの設計の機種が目立っていて、しかも等価交換前提で遊ばないと出玉がついてこないのでは? と不安になるほど吸い込みがキツい。

スマスロは19,000枚で出玉上限となり筐体が稼働停止となる。一方で吸い込みに関しては限界がないため、1日で10万、20万負けることも不可能ではない。ただでさえ稼働が落ち込んでいる中で無理に導入したとして、肝心のユーザーがそれを楽しむだけの費用を持っているかと言えば、そういう時代ではもはやないのだ。

遊技人口爆増の役目を担えなかったスマスロ

実際、近隣の繁盛しているホールを覗いてみても、スマスロは導入しているものの、朝からの動きは既に鈍くなっているという店は少なくない。一方でメダルを使用する従来タイプの6.5号機の一部の稼働が高くなり、これらを増台を検討しているホールが、このタイミングで皮肉なことに、かなり目立ってきている。

スマスロというものを、導入当初は面白半分で触ってみた人たちが、結局大量出玉を期待できる特化ゾーンにぶち込むことがムリゲーだと気付いて、従来の規格の機種に戻ってきたということかもしれない。特化にぶち込んだ時点で既に期待値以上のメダルが出ないと負け、というパターンもあるだろうし。

スマスロを無理して導入したホールには気の毒だけど、個人的には「これ、各店の店長クラスはちゃんとショールームで試打したのかな?」と疑問に感じてしまった。シンプルに出玉が増えるイメージが、とにかく湧かないのと、純増が高くなってメダルがモリモリ増える良い状態に持っていくまでに遠大なフラグ成立を目指さなければならない仕組みに引いた、というか。

それこそ今の6号機からパチスロをはじめた人たちにとっては、運が良ければ10,000枚以上出るというスペックは魅力的かもしれないけど、その状態に持ち込むまでにいくら使うかという話で。正直、これはもう庶民のギャンブルの範疇を越えちゃってると感じるのだ。

僕はパチスロ4号機世代で、パチスロのせいで消費者金融から借金をしてでも破滅しながら打つ人たちをリアルに見てきたが、その頃の機種と比べても「ちょっとこれは大量にメダルを出すのは難しいだろうな」と思える要素が満載されているのが、今のスマスロに対しての見解だ。

まず規定G数回して、そこからチャンスゾーンに突入させ、これを成功させ、大当たり状態を20連させる。そののちに発動するチャンスゾーンを成功させれば、期待度マックスの最高大当たり状態が高確率で継続するというのが、現状設置されているスマスロのうちの1機種の仕様であって、これは資金がないと突破できないものだ。そしてパチンコってお金がそんなにない人の趣味なんだよね。最初から食い合わせが悪いのである。

特に今は不景気でみんな余裕がない。今後、4月にはスマパチも出ますよと言われても、さらにこれから電気代もガス代も高騰するわけで、ユーザーがこれにいちいち付き合う体力なんてない。

可哀想なのはパチンコホールである。スマスロのための設備投資を済ませて、恐らくまだその費用も回収できていないのに、息つく間もなく今度はどの程度稼働するかも分からんスマパチなんだもの。

スマスロの一件で、ユーザーは別にスマート機を求めてないし、何なら従来機の方を朝からバリバリ打ってくれることが分かってる手前、スマパチ導入へのモチベーションなんて割と低いんじゃないだろうか。

エンドユーザーである僕ですら「スマスロはメダルレスなのでコインを筐体に入れる手間もないからまだ良かったけど、パチンコなんてパーソナルを導入してれば玉を触ることもないから、スマパチの何がいいのかさっぱり分からない」という感覚だし。スペック面で差をつけると言っても、僕らにはそれを満喫するだけの資金はマジでないって状態なんだよね。

庶民の娯楽に回帰できないのは分かるけど、一方で庶民が娯楽に投じることが出来るお金って、ますます減る一方。正直スマスロも、次の北斗辺りが跳ねない限り、昔一瞬だけ登場してすぐ消えたパロットみたいになっちゃうような。

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