『光る君へ』視聴率は低いけど良作の予感! 『どうする家康』で大河から離れた人にも観てほしい | キャリコネニュース
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『光る君へ』視聴率は低いけど良作の予感! 『どうする家康』で大河から離れた人にも観てほしい

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いきなりこんなこと書くのも性格が終わってるって話だけど、2023年の大河ドラマ『どうする家康』。奥行きのあるCG背景や回想挿入しまくりが目立つ野心作だったが、個人的にはつまらないドラマという印象をどうしても払拭できないまま、とうとう終わってしまった。

まあ、その理由については去年こちらで散々書いてきたけど、やっぱり主演の松本潤の芝居が時代劇にそぐわないというか、最終回までハマらないままだった。主役の演技に違和感があると、どんなドラマや映画にしたってもう真剣に視聴するのは難しくなる。

配役がそもそも家康に向いていないのに、恐らく松潤ありきで企画が進んでしまったのは色んな意味で不幸だが、一番不幸なのはちゃんと受信料を払って観ていた僕みたいな視聴者だ。

しかし、不作の後にはさらなる飢饉か豊作、どちらかが舞い込むもの。今年の大河ドラマ『光る君へ』は、1月7日から放送スタートしたが、2話を放映した今の時点で、割と面白いと感じる。豊作の気配がする。ちょっとその面白いと思えたポイントを、昨年の大河と比較しつつ話していきたい。(文:松本ミゾレ)

なぜか権力闘争をほとんど描かなかった『どうする家康』に対して……

『光る君へ』は、やがて紫式部と名乗ることとなる女性・まひろ(演:吉高由里子)が主人公。のちの藤原道長となる三郎(演:柄本祐)との関係性を、恐らくこの先描くんだろうけど、ともかくこの時代を舞台としたドラマってここ最近はかなり珍しい。

登場人物は実在の人々も多いが、記録だの史料だのが乏しい人物の場合は、色々と脚色しながら個性を吹き込んでいる。

登場人物はそれなりに多いものの、最低限おぼえておかなければならない主要人物となるとそんなに数がいるわけじゃなく、しかも俳優もしっかりとビジュアルで差別化もされているので見間違うことはない。この辺りは、昨年の『どうする家康』スタート時点とほぼ同じ。

例年、大河の1クール目は期待しつつ観ているから、両作共にワクワクする滑り出しになっていた。ただ、『どうする家康』の場合はこの1クール目から戦国時代特有の群雄割拠の絵図面は描けていたが、政略的な駆け引きの印象が薄かった。

一方で今年の大河は第1話では、まひろが幼い頃からスタートし、子役が演じているものの大人たちは互いに権力争いにしのぎを削っている。三郎の父である藤原兼家(演:段田安則)の暗躍などはその代表例だ。

さらに皇族も一筋縄ではいかないキャラ設定をしており、帝を冷徹な側面を隠さない嫌な人物として描写するなど、従来なかなか見られなかった肉付けをしていて興味深い。

こういうのを昨年の大河で観たかったんだよね。同盟相手の信長に感情的に食って掛かる家康とかよりも。ああいうのは現代劇でやればいいのだ。現代劇ですら白けるやり取りだったけど。

戦国時代という絶好の舞台で、骨肉の権力闘争を描くことが合戦シーンを除いてはほとんどなかった『どうする家康』では得られなかった栄養を、よりによって『光る君へ』で早速得られたのは驚いた。

有体に書くと、昨年の大河は戦国時代の最終勝利者になる家康が天下を手中に入れるまでの駆け引きの応酬が見たかった僕のような旧来大河ファンにはフラストレーションばかりだった。だから個人的に評価したいと思う部分が乏しかったのかな。

凶悪なヒール・道兼の存在が強烈!

もう一つ前作への不満を書かせてもらうと、家康にとって越えるべき壁としては信長、信玄、秀吉などそれなりの器を有する者たちが登場していたものの、視聴者的にはさほど憎たらしい面々ではなかった。これがちょっと気にかかったというか、たまに登場する合戦シーンで、どうしてもカタルシスを得にくいところがあった。

羽柴秀吉(演:ムロツヨシ)が中でも印象的だったけれど、秀吉は家康にとっては結局勝てない太閤殿下のまま死んでしまったし、ドラマオリジナルの、死にかけの秀吉相手に激情をぶつける家康のシーンも、正直相当大人気なかった。

一方で『光る君へ』は冒頭からとんでもないのが出てくる。それが藤原兼家の子・道兼(演:玉置玲央)である。粗暴で、弟の三郎を何かにつけて殴り、蹴り、庶民を露骨に見下す始末で、挙句の果てには第1話の終盤に、まひろの母・ちやは(演:国仲涼子)を刺殺!

ところがまひろの父である藤原為時(演:岸谷五朗)は、兼家の口添えで閑職を脱した手前、ちはやが道兼に殺された事実を黙認するしかないという不条理。

まひろにとってはこの仇敵が、心を通わせた三郎の兄ということにもなるので、これが今後ドラマを盛り上げないはずがない。もちろん、史実には紫式部の母親を道兼が惨殺したなんて話はないんだけど、これは作劇として非常に面白い作りだと感じる。

実際、道兼は粗暴な性格をしていたとのことなので、こういうことも確かにやりかねない。
虚構を挿入するにしても、最低限無理がない範囲でやってもらえるのならば、それでドラマに起伏が出る以上僕は全然楽しめる。

少なくとも、まだ2話しか放送されていないが既に前作よりは面白い大河になる予感もするし、戦国時代モノかつ主役は家康、主演が松潤ということで胡坐をかいていた感があるというか、ぶっちゃけ舐めてたようなお話ばかり続いた『どうする家康』越えはしそうだ。

ただ、不満もある。それが、劇中で登場人物の名前がクレジットされない点。ただでさえ藤原姓だらけかつ、平安時代に疎い僕にはなかなか名前が覚えられないので、ここは表記が欲しかった!

「じゃあ公式サイトの人物相関図で勉強だ」と思ってサイトに飛ぶが、なんか今年の人物相関図はめっちゃ見にくい! これは改悪なのでどうにかして欲しいなぁ。

とにかく、今年の大河。女性が主人公と言うことで敬遠している人もいるかもしれないけど、結構見ごたえがある。視聴率が低いとニュースになっているが、前作で大河ドラマから離れてしまったという人も、ぜってぇ観てくれよな!

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