本当にクソ?「ロマサガ1」「デジモンワールド2」……クソゲーの烙印を押されてしまったゲームたちを改めて評価する
クソゲー。文字通り、クソみたいに面白くなかったり、理不尽な要素が満載されているゲームをそう指す。ネット上では「クソゲーオブザイヤー」と呼ばれる、毎年のクソゲーが有志らによって選出されるというイベントもお馴染みだが、一方でクソゲーの条件を満たしていないのに、クソゲー扱いされるタイトルもあったのではないだろうか。
たとえばちょっと理不尽に思えるバランスも、よくよくシステムを把握して遊ぶと詰まる要素がないとか、そういうものも、もしかしたらあったりして。そしてそれを多くのユーザーが見逃していることで、結果的にクソゲーの烙印を押された悲劇的なケースも、あるのではないだろうか。
そういったタイトルは、後に汚名を返上する機会を得ることもしばしばある。ちゃんとプレイしたユーザーが「いや、面白かったよ」と評価する頻度が高まるにつれ、最初の印象を大きく覆すことはあるのだ。
その実例が色々と詰まったトピックが、ガールズちゃんねるに見受けられたので、ちょっと今日は当初クソゲー扱いされたものの、後に復権を果たしたタイトルの話をしていきたい。(文:松本ミゾレ)
キャラゲー=クソゲーの図式が当てはまりかけたモデルケース、『デジモンワールド2』
件のトピックというのは「クソゲー扱いされたゲームをあげていくトピ」なるもの。トピックを立てた人物は例として2000年リリースの『デジモンワールド2』を挙げている。これは僕もおぼえている。たしか前年に発売された『デジモンワールド』の続編枠なんだけど初代が育成RPGなのに『2』は普通のRPGになっちゃったんだっけ。ドラクエモンスターズライクの。
これはこれで面白いんだけど、初代が育成ゲーとして完成度の高いタイトルだったので、この路線変更は大きく期待外れとなったのだ。それでも14万本も売れてるので、当時はそれだけデジモン人気もすさまじかったのだろう。
いわゆるキャラゲーは、古今バンダイナムコ(当時はバンダイ)のお家芸。ある程度売れた版権モノは何度か擦り、売れなくなるまでそれを続けるというのがバンナムの基本的な手法である。
この頃のデジモン人気は高かったため、バンダイとしてはとにかくすぐに関連タイトルを出したかったのかもね。
結果として前作ファンの期待からはちょっと外れた位置に着地してしまっただけのこと。しかしそれはファンにとっては由々しき事態でもあって……。僕もバンナムには何度か辛酸を舐めさせられたことがあるので、当時のデジモンファンのゲーマーの気持ちはよくわかる。
バンダイってホント、「このゲームをこのまま追加要素とか盛り込んでキャラも順当に増やした続編を作ってくれ!」という気持ちを、全く、一つも、さっぱり、完全に理解してないので。
そして結局、ファンの期待と予想を大幅に下回った「何これ」って感じのものを出して、売れなくなってしまい、その版権タイトルを放り出すのだ。ウルトラマン系とか『ギレンの野望』とかマジでそう。
ただし、『デジモンワールド2』に関しては、あくまで続編の割にはあまりにもドラクエ風味に寄せてしまってるのが問題なだけで、慣れてしまえば気にならない。
急場しのぎにしてはゲームオリジナルシナリオの完成度も高く、進行をアシストするテキストも豊富なうえ、メインの購買層を配慮してか、このテキストも大変読みやすい上に、大事な要素は赤文字で表記してくれる。なのでRPGとしては意外とお手本のような作りになっている。
後年はこの点が評価され「クソゲーとも言えないのでは」という評価もなされるようになった。まあ、育成型のゲームの続編が出たと思ったらドラクエモンスターズのパクリでした、みたいな変化球で勝負した部分はやっぱり問題だけど、単体で見ればそこまでクソではないのである。
むしろバンダイのキャラゲーとして見ると、かなりマシなレベルにまとまった好ソフトなのだ!
「危なかった…」もう少しでクソゲーとして認定され、終わった可能性もあったタイトルたち
で、件のトピックには他にもクソゲー扱いされかけたタイトルが挙げられている。ちょっといくつか引用させていただき、それぞれに対して個人的に、短い論評も添えたい。
■『女神異聞録ペルソナ』
1996年にアトラスから発売されたペルソナシリーズの元祖である。ゲーム(特に戦闘関連)のテンポが悪いことがクソゲー扱いされかかった要因か。具体的なその理由についてはトピック内に表記がないので判然としないが、恐らくバックアタックを受けた後はメニュー画面で再度陣形を組みなおす手間がある点。
特に序盤は何かと敵との会話のコツがつかめず怒らせてしまい、先制を食らいがちな点。
武器の相性によっては戦闘の難易度も変動する点などが原因かと思われる。慣れてしまえばめっちゃ面白いんだけどね。メガテンシリーズ未経験の人がいきなり遊ぶと、ちょっと面食らったのかも……。
■『ポポロクロイス はじまりの冒険』
ソニーが2002年に発売した、『ポポロ』シリーズ4作目のタイトル。主人公がピエトロの息子、ピノンになったというのが大きな変更点。従来の2Dから3Dに映像表現も変化し、ついでにバトルでは連携技も採用されるなど、なかなか変革も見受けられた意欲作。
だが、長年本シリーズを楽しんでプレイしていた層には、この変化が受け入れられない傾向にあった。シリーズのファンだった高校時代の彼女のリカちゃんも、本作については「なんか違う」と不満そうだった。
ならばと遊ばせてもらったが(クリア自体はそんなに難しくない)、とにかく読み込み時間が長く、連携技もそこまで魅力的ではないので遊ぶのが軽く苦痛に感じてしまったのが正直なところ。
ただし本作には、これまでのタイトルで登場したキャラが少し年齢を重ねた状態で再登場するなど、ファンサービスと捉えても良い側面もある。さらに旧主役のピエトロ王子がちゃんとした身なりの王になっているなど、世界観やシナリオ面での粗は感じられなかった。
問題はやはりゲームの肝となるバトルの冗長さ。2Dのまま出してさえいれば……ん? これじゃあ本作はギリギリクソゲー評価ってことになっちゃうな。それは惜しいんだけど、でもしょうがないか!
■『ロマンシング・サガ』
僕としては考えられないことだが、『ロマサガ1』も人によってはクソゲーと評する場合もあったようだ。1992年にスクウェアソフトがリリースした本作は、その後さまざまなプラットフォームでリメイクされて現在でも簡単にプレイすることができる。
閃きに代表されるバトルシステムは画期的ながら、いかんせん戦闘の難易度は高く、戦えば戦うほど敵のランクも上がる関係上、ある程度序盤から育成方針を決めて遊ばないと詰むこともしばしば。
加えてLP制も難易度上昇に拍車が。さらにはバグも多かったので、純粋なゲームのクオリティとしてはたしかにクソに足を踏み入れていたのかも……。
ただし、こういった数々の懸念も向こうに回して余裕で魅力が勝るのが『ロマサガ1』。
会話の選択肢が「はい」「いいえ」ではないなどテキスト面で随一の魅力を発揮しているのも、当時としては画期的。
何より伊藤賢治氏のバトルBGMがいい! シビアなバトルシステムとイトケンサウンドと河津氏のシナリオさえあれば、バグだらけであっても神ゲーになっちゃうのだ。
と、ここまでトピックで上がっている声をいくつか紹介したけれど、他にも当然色んなタイトルが挙げられている。
が、その大半はクソゲー扱いされたゲームではなく、ちゃんとしたクソゲーの名前ばかりなので、ちょっと僕も擁護することができなかった。あと純粋に、プレイしてないので評価できなかったタイトルも多々……これはしょうがないね。団地育ちの貧乏核家族の倅だったので。