夏になると、がぶ飲みしたくなる麦茶。自作して常備しておくのが安上がりだが、暑い時期だけに食中毒には気をつけたい。そこで、食品検査のプロ、エフコープ生活協同組合 機関運営・広報部の大平健太郎さんに「安全な麦茶の作り方」をお聞きした。(文・ふじいりょう)
3つの作り方を比較してみた結果……
同センターでは以前、麦茶の作り方によって、細菌の増え方が違うことを実験調査で確かめた。
調査で比べたのは、次の3種類の作り方だ。
(A)煮出してから水に入れて急冷した麦茶
(B)煮出してから常温で冷ました麦茶
(C)麦茶パックを入れて水出しで作った麦茶
いずれも保存は冷蔵庫で実施した。どの作り方でも、「5日目」までは基準値を超えるほど、細菌は増えなかった。
しかし、(B)「煮出してから常温で冷ました麦茶」は3日目になると細菌数が急激に細菌が増殖し始め、6日目には、安全に飲める基準値の10万を超えた。
一方、(C)水出し麦茶は、4日目から細菌が増殖開始。9日目に安全に飲める基準値の10万を超えた。
一番長持ちしたのは、(A)煮出してから急冷した麦茶で9日経っても、細菌はほとんど検出されなかったという。
「煮出して急冷」が優秀だった理由は?
エフコープ生活協同組合 機関運営・広報部の大平健太郎さんによると、煮出して作った場合、細菌の大半は死滅する。
つまり、(A)が優秀だった理由は、「煮出したことで細菌のほとんどが死滅し、急冷した後に冷蔵庫に入れたことで細菌が増える時間がなかったからと思われます」(大平さん)。(B)がいまいちだったのは、「細菌が増えやすいタイミングがあったため」ということだ。
それでは、一度も温度が上がらなかった「水出し」は、なぜダメだったのだろうか?
大平さんは「実験では細菌がいないペットボトル入りの水を使用しましたが、おそらく麦茶パックを入れる際に細菌が混入したからだと思われます」と推察していた。
ようは、そもそも麦茶を作ったとき、容器や手にちょっとした雑菌がついていれば、それが低温でもじわじわと増えていくことになるようだ。
大平さんは「調査はしていないので一般論になりますが」としながらも、よく洗った容器を使うことで細菌の増殖を防げるだろうと話していた。
「使用済のペットボトルにしても、水筒などにしても、作る前にしっかりと洗浄することが大切です。また、なるべく冷蔵庫で保管したり、細菌が増えやすい温度にさらさないようにした方が望ましいと思います」(大平さん)
目安は「冷蔵保存で4日目まで」
さて、エフコープ生活協同組合 商品検査センターによると、麦茶を長持ちさせるポイントとして、次のような点を挙げている。
■麦茶を保存する容器に耐熱性のものを選び、事前に熱湯消毒すること
■ 麦茶を煮出した後に、やかんごと水を張った桶に浸けて粗熱を取ること
■ 保存容器に直接口をつけて飲まずに、必ずコップに注いで飲むこと
大平さんは実験でどの入れ方をしても、「5日目までは細菌数、味ともに問題なく飲めた」といい、「賞味期限は作ってから冷蔵保存で4日目までと考えると良いでしょう」と話していた。
ただ、これはあくまで注意して作ったうえ、ちゃんと冷蔵保存した場合の目安だ。もともと容器が汚れていたり、水筒に入れて持ち歩いたりすると、話はまるで変わってくることにご注意を!