大学や専門学校に、「奨学金」という名の借金をして入っても、稼げる職業に就けるとは限らない。ただ、将来の選択肢、知識や交友関係が広がる可能性は高くなるので、最初から諦めることもないだろう。
キャリコネニュースが11月27日に配信した、「奨学金の返済に苦しむ20~30代『返還が無事に終了するか、先に体を壊すかという状態です』」という記事がネット上で注目を集めた。記事では
「思いのほか給料が低すぎることを実感。今はダブルワークで返済しています。奨学金の返済が無事に終了するか、先に体を壊すかという状態です。(20代女性/奨学金総額800万円/年収250万円)」
といった声を紹介している。ガールズちゃんねるにはトピックが立ち、返済で苦しむ様子を冷たく受け止める人が相次いだ。(文:okei)
「無理して進学せず高卒で就職して良かった」
トピック内の反応からは、奨学金にネガティブなイメージを持っている人が多いことが窺えた。
「奨学金は簡単に借りちゃだめだよね」
「奨学金で大学に通わせる気満々の人たくさんいるけど、要は子供にこういう思いをさせるということだからね」
また、「こういう人を見ていると、無理して進学せず高卒で就職して良かったって思う」という声もちらほら。
「結婚も出産も奨学金返済がなかったから躊躇わずに出来たし、フルで働いても給料は少ないけどある程度幸せに暮らしていけてる」
「私の親は最初から『お金ないから大学行かせてあげるのは無理だからね』って言ってた。 (中略)こういうトピ見る度に『奨学金もらってでも大学行って』って言うような親じゃなくてよかったーと思ってる」
と胸をなでおろす人も。しかし、奨学金を利用しなかった人の中には「うちは大学行けるほど財力なかったから高卒で就職したよ。大学行きたかったけどなぁ~」と未練をにじませる人もいた。
ここ数年、「奨学金の返済に苦しむ若者」がたびたび話題になっており、「奨学金は学生ローンと呼ぶべき」という意見もよく見聞きする。確かにそうなのだが、逆に「奨学金は重い借金」というイメージが強くなり、最初から進学を諦める人もいるようだ。トピックには「芸大行きたかったけど奨学金借りてもその後のこと考えたら詰むな、って思って諦めたよ」という声もあった。
奨学金を借りた人「安定した給料と安心した暮らしを手に入れることが出来てよかった」
一方、「奨学金を借りて良かった」という前向きなコメントもある。「実家が代々貧乏だったから、自分の代で貧乏はお終いにしてやると思って」と書いた人は、
「奨学金を借りて薬科大学に進んだ。今は産休中ですが医薬品の研究所で働いています。安定した給料と安心した暮らしを手に入れることが出来てよかった」
と胸を張る。
そもそも、話題となったキャリコネニュースの記事には、さほど困窮していない人も多い。中でも、年収650万円で都内在住の30代男性(奨学金約230万円、月1万5000円返済)は、姪が”奨学金破産”を恐れて進学を諦めようとしていたことを明かし、「マスコミが恐怖心を煽りすぎ」と苦言を呈していた。男性は、
「もし進学を諦めて地元の企業に高卒で入社していたら、今の収入も生活もなかったでしょう」
と、自身は奨学金が役立ったことを語っている。
奨学金には利子の付かない「第一種奨学金」と、利子の付く「第二種奨学金」があり、この男性も無利子だったという。借りすぎは禁物だが、奨学金は学費であり将来への投資でもある。制度を学生自身がよく理解して計画的に利用する分には、負担になるだけではないだろう。