日本の所得税は、高所得であるほど税率が上がる仕組みになっている。稼いでいる人ほど”損”をする、いわば「逆インセンティブ」の状態だ。
世帯年収1400~1600万円のキャリコネニュース読者からは、
「人より働いて稼ぎ、しこたま税金を納め、稼ぐ意味はあるのか?と思う」(茨城県/40代後半男性/流通・小売系/個人事業主/既婚/子ども2人/世帯年収1400万円)
「頑張って稼いでも、結局税金で持っていかれる」(神奈川県/60代前半男性/その他/個人事業主/既婚/子ども4人以上/世帯年収1400万円)
と不満の声が相次いだ。これでは、労働意欲を削がれてしまっても仕方がないだろう。(文:大渕ともみ)
「努力と忍耐で真面目に働く人間のモチベーションを下げる政策を行うなんて」
都内の30代後半女性(流通・小売系/個人事業主)は、世帯年収1600万円。「夫婦共働きで子どもを4人育てています」と明かすが、その生活は経済的にも精神的にも苦しい。
「必死に働いて時間的余裕がないので、子どもたちには生返事をしてばかりです。それなのに、児童手当の特例給付の廃止が決まり、高校無償化の恩恵も受けられません。努力の結果がこの仕打ちとは、本当にひどい」
女性は、今の状態では「子ども4人をすべて自己負担で私立に通わせることなんてできません」と嘆いた。生活を豊かにしたくて一生懸命働いてきたはずが、まさか高所得が仇となるとは夢にも思わなかっただろう。女性は、自らの収入のせいで、子どもたちの進路の選択肢が限られてしまったことに憤り、
「努力と忍耐で真面目に働く人間のモチベーションを下げる政策を行うなんて。国は、少子化対策や国力の向上に取り組む気はあるのでしょうか。その場しのぎの政策はやめていただきたい」
と切実な思いを打ち明けた。
「離婚して事実婚にすれば、所得制限に引っかからない」
「子どもたちの医療費や学費など、国からの助成を受けず、真面目にたくさん納税させていただいています」と綴るのは、山口県の40代後半女性(メーカー系/正社員)だ。女性は世帯年収1500万円で、3人の子どもを育てている。
「所得制限ではねられ、医療費助成の申請をしたことがありません。それを専業主婦やパートのママさんたちに知られると嫌味を言われるので、その話題に触れないようにしています。同僚からは『ダブルターボでいいね~』と言われます」
隣の芝生は青く見えるのだろう、女性の家庭の苦労を他人は知る由もない。収入に比例して税金の支払いなど出費が増えてしまうため、「派手な生活はせずに貯金に励んでいます」と女性は明かす。
「離婚して事実婚にすれば、所得制限に引っかからないので、国からの恩恵を受けられるのでは?実際に、あえて”ひとり親”を選択する人もいるとか。そう聞くと、いろいろ考えてしまいますね」
高所得で不自由なく子どもを育てていくには、家族の在り方まで考え直さなければならないのか。努力した人が報われる世の中になってほしいと願うばかりだ。
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