サーバーダウン時には、参加中のルームを強制的に退出させられたり、アプリ内の操作ができなくなったりする人が相次いだ。ルームの主催者にあたるモデレーターが全員落ちると、自動でルームが閉鎖する仕様になっており、1000人以上の参加者を集めたルームが閉鎖して嘆くモデレーターもみられた。
自分のルームを閉鎖させまいと、入室と退出を何度も繰り返すモデレーターも続出。3日は多くの人が利用する23時頃から翌1時頃まで、2時間以上にわたってまともにサービスが利用できない状況になり、ツイッターに「めちゃくちゃ重い」「昔のテレホタイムかよ」などと投稿する人が多かった。人気爆発の裏側で不具合に直面している。
井上氏は、連日続くサーバーダウンについて「パイプが詰まって水が流れなくなっている状況」と例える。
「音声信号がサーバーに入ってくる訳ですが、通信を処理できなくなり、Aさんが話した内容をBさん、Cさんに転送できなくなっている状態です」
と説明する。サーバーダウンは音声信号だけに限らず、ログイン過多でも起こり得る。イーロン・マスク氏に限らず、国内でも1月下旬から芸能人が利用開始しており、ランチ時や夕方などの時間帯には、ルームに所属できる最大人数の5000人に達するケースも多い。
井上氏は「条件がそろえば、サーバーの増設作業そのものは半日もあれば終わる」と話す。通常はテストを含めても1~3日あれば十分だが、電源確保やこれに伴う工事などが必要になれば、より時間がかかることも想定されるという。
相互フォローをするだけの部屋が乱立する日本
Clubhouseは米国では昨年春にリリースされ、その後の流行以降も「5000人集まっても、サーバーがダウンしなかった」などとサーバーの強さに定評があったという。それでも、今回のサーバーダウンにつながった要因には、ネット上で噂されているイーロン・マスク氏だけでなく、日本国内で劇的にユーザーが増加した可能性も考えられる。
井上氏は「米国で実際に行われている使い方」として、聞き手がラジオ感覚で使用したり、著名人や有識者によるセミナー型の利用方法を紹介する。だが、国内では、相互フォローを増やすためだけの部屋、アプリの使い方が分からない人々が集まる部屋などが乱立しているのが現状だ。
米国ではClubhouseをめぐり、カルト宗教などが手軽に信者を集めたり、特殊詐欺グループなどが悪用したりすることを懸念する声が挙がっていたという。井上氏は、
「米国が一年前に経験したことを今、日本がなぞっているような状況です」
と印象を語り、国内でも「今後はこうしたユーザーに注意する必要がある」と懸念を示した。