日本の現状について、枝野氏は、
「1億総中流と言われた時代から、格差が増大し、貧困が拡大した。(中略)近代国家の大前提である立憲主義が破壊され、法の支配すら脅かされている。皆で議論し納得をして物事を進めていくという民主主義が疎かにされている。共謀罪に象徴されるように、自由な社会にも様々な危機が迫っている」
と指摘。「こうした状況を変えていく責任を果たしていかなければならない」と語った。
「立憲民主党」という党名には、2つの理念が込められている。1つは「権力は憲法というルールに基づいて認められている」という「立憲主義」の尊重であり、2つ目は「皆で話し合って、納得できるように物事を決めていく」という民主主義の理念だ。
東京都知事の小池百合子氏が率いる希望の党については、「理念や政策が異なる」とした。希望の党は、安保法制に賛成するとともに、憲法改正を目指しており、旧民主党・民進党の理念や政策とは相いれない。
政策の多くはまだ明確になっていないとしながらも、旧民主党・民進党時代に唱えてきた政策と大筋では変わらないという。消費税の増税はしばらく凍結し、「原発ゼロ」実現に向けた具体的プロセスを策定する。また安倍首相の唱える「自衛隊加憲論」には反対だと明言した。
連合からは「賛同得られたと理解している」「市民連合とは連携したい」
枝野氏ら民進党左派には、リベラル票の受け皿になってほしいという声もあるが、「対立軸は左か右かではなく、あくまでも上からか下からか」だという。
「上からの民主主義、強い者からの経済政策が限界に達し、弊害が大きくなってきている。草の根からの民主主義でなければいけない。経済や社会は下支えをして押し上げていく必要がある。ボトムアップ型の社会にしていかなければならない。ボトムアップ型のリーダーシップが立憲民主党の1つの立ち位置だ」
しかし、これまで前原誠司代表ら右派と、枝野代表代行ら左派が混在していた民進党が分裂したことで、立憲民主党のリベラルとしての立ち位置はより明確になったといえる。枝野氏自身が言うように「これまでの理念や政策をよりクリアに訴えることができる」ようになったのだ。
同日午前中には、連合の神津里季生会長と会談をし、新党の立ち上げを報告した上で、支援を要請したという。連合の支援については、「賛同を得られたと理解している」と語った。
共産党や社民党との共闘について聞かれると、「市民連合に代表される幅広い市民の皆様と連携したい」としながらも、野党共闘についての明言は避けた。ただ、共産党の志位和夫委員長は同日、ツイッターで立憲民主党創設に触れ、
「共闘の大義に立つ方々の動きを歓迎します。逆流を乗り越えることができれば、市民と野党の共闘はさらに強く、確かなものになることは間違いありません。ここが正念場です」
とツイートしていた。
また、枝野氏は希望の党への合流を主導した民進党の前原誠司代表を解任することを考えなかったのか、前原代表の行為は背信行為ではないのかと記者から問われたが、こちらも回答は避けた。
今後、民進党を離党した長妻昭選対院長や赤松広隆元衆院副議長らが合流すると見られている。どれくらいの候補者を擁立するのか未定だとしながらも、「比例区の全てのブロックに候補を擁立したい」という。