漫画『鬼滅の刃』がかつてないブームを巻き起こしている。だが、週刊少年ジャンプの連載当初から応援していた原作ファンの中には、現在の賑わい具合に困惑している人もいるかもしれない。ガールズちゃんねるに11月9日、「漫画やアニメのにわかファンが苦手」というトピックが立った。
トピ主は、自分の好きな漫画やアニメがブームになった時、にわかファンが大量に出てくることに嫌悪感を抱いている。これまで二次元に興味がなく、むしろ馬鹿にしていたような人が、急にそれらの作品を礼賛し始め、しかも平気で名前を間違えていたりすることに腹が立つという。(文:石川祐介)
「にわかファンが増えると転売屋が動くのが迷惑」
トピ主と同様に、にわかファンの存在を疎ましく思っている人は多いようだ。
「新しいファンが増えるのはいい事だけど、今までの雰囲気を壊されるのは嫌だ」
「ネットで仕入れた知識をドヤ顔で披露してるようなやつばっかやん。今のアニオタって」
にわかファンが最近覚えた知識をひけらかしたり、持ち上げられすぎてメジャー感が出てしまうことにより、さまざまな弊害を感じていた。
中には「普通にアニメも観る人達が流行り出して魅力に気付くのと、そもそも『アニメ観るやつきもい!』みたいなこと言ってた人が流行ってるから飛びつくのは違う」とにわかファンの質について言及する人もみられた。
最近、いわゆる“オタク”に対して寛容な雰囲気になってきたが、一昔前は差別的な視線を向けられることもあった。漫画やアニメが好きな人にとっては、これまで蔑まされた経験があるため、世間の急な手のひら返しに腹立たしく感じるのは無理もないだろう。
さらに「にわかが動くと転売屋が動くのが迷惑」という声もあった。直接的な原因ではなくても、にわかファンが増加することで出てくる悪影響は決して小さくない。
“古参オタ”の方が実は迷惑?
とは言え、にわかファンが増えることを仕方ないとするコメントもある。
「流行るとにわかが増えるのは仕方ない。そういう人らはブームが終わるとすぐ去るよ」
「アニメに限らず急に人気になるとにわかがわくのは仕方ない。にわかファンは固定ファンにならないでいずれ離れていくんだから、そんなイライラしなくてもいいんじゃない?」
にわかファンを“一時的な現象”と捉えて距離を取れば、そんなに目くじらを立てる必要はないのかもしれない。
「気持ちはわかるけど、その作品に触れたばかりで新鮮な感動をしてる人たちに上から冷笑あびせるガチオタは苦手だわ」
「サザエさんガチファンの人に、原作も読んでないのにアニメ見るな!とか言われても引くでしょ?」
実は、にわかファンよりも古参ファンの方が迷惑がられている、という指摘もあった。「それがきっかけでアニメ・漫画ファンになる人もいる。間口を広げとかないと、アニメ漫画業界は縮小する一方だよ」といった指摘があるように、にわかファンこそが業界を支えているという見方もできる。
古参ファンが排他的になることで、作者や業界が利益を損なうリスクも生まれる。したがって、古参ファンこそがファンが増えることを喜ぶべきだろう。