BL作品の指定でまた物議 東京都の「不健全図書」指定制度とは何なのか? | キャリコネニュース
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BL作品の指定でまた物議 東京都の「不健全図書」指定制度とは何なのか?

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とあるBL(ボーイズラブ)漫画家のツイートがきっかけで、東京都の「不健全図書指定制度」がまたぞろ話題になっている。最近はすっかり忘れられていた感もあるこの制度だが、どんなものなのか? 長年この問題を取材し続けている筆者がざっと解説する(文:昼間たかし)

「不健全図書」の選ばれ方は?

不健全図書指定制度は、東京都が「不健全だ」とみなした雑誌、書籍、DVDなどを18歳未満に販売できなくする制度。東京都の「青少年健全育成条例」にもとづいて運用されている。

指定の流れは、次の通りだ。

東京都職員が、書店で雑誌・書籍・DVDを購入し、候補を選定(購入数は月120冊程度)。

出版・書店・コンビニなどの業界団体からの意見聴取(自主規制会議・諮問図書等に関する打ち合わせ会)。

「東京都青少年健全育成審議会」の委員(有識者)たちが審議し、決定。

結果の告示。(※書店などには毎月ハガキで指定作品が通知される)

このところ、「不健全図書」に指定されるのは月1?2冊ペースとなっている。

いわゆる「18禁」や「電子書籍」は対象外

ちょっと紛らわしいのだが、出版業界の自主規制で「18禁」「成年向け」として発売されている作品は、そもそも制度の対象外となっている。

また、対象となるのは「紙の書籍・雑誌とDVDなど」で、電子書籍は対象外というのも特徴だ。

どんな作品が指定されている?

さて、この制度の源流は、昭和30年代に盛り上がった「悪書追放運動」にある。出版社が集中していた東京都では反対の声も根強く上がっていたのだが、結局1964年に制定された。

その後の90年代、石原都政がマンガ規制強化の動きを強めて大論争に。出版サイドも「18禁」などの自主規制を余儀なくされた。このところは業界の自主規制が進んだこともあって、毎月の指定数は激減している。

2010年代以降に指定された作品は、

・自主規制の「18禁」作品に比べると穏やかだが、性的なシーンがそこそこ含まれている作品
・いわゆるBL(ボーイズ・ラブ)作品

の、どちらかに大別できる。

BL作品の指定が増えている背景には、何があるのか? 業界関係者はこう語る。

「近年、BLの性描写は目に見えて過激になっています。ところが、男性向けで出すなら18禁にするレベルの内容でも、BLだと自主規制しないケースが多い。制度の是非はともかくとして、指定作品にBLの割合が増えているのは当然でしょう」

ペナルティは?

では、「不健全図書」に指定された場合のペナルティを、もう少し詳しく説明しよう。

繰り返しになるが、「不健全図書」に指定されると、都内の書店などはそれを18歳未満に販売できなくなる。

さらに、その余波で一般図書と同じ棚に置けなくなる。これは都が成人向け作品を「18禁コーナー」に置くようゾーニングを求めているため。つまり「不健全図書」に指定されると、18禁コーナーがない書店などでは、そもそも取り扱ってくれなくなるのだ。

なお、通販サイトのAmazonも「不健全図書」に指定されると、作品の取り扱いが停止になる(ただし同タイトルの電子書籍は対象外なので、そのまま売っている)。

ほかにも同じ出版社が同一年内に何度も繰り返し指定された場合に名前を公表されたり、繰り返し指定された雑誌を取次が自主規制で扱ってくれなくなったり……といったペナルティが存在はするが、実際にそうなったというケースは聞かない。

惰性で続けているとしか思えない

制度の最大の問題点は、「評価基準が曖昧すぎて、過度な自粛につながりかねない」というところだ。いつ自分の作品が「不健全」のレッテルを貼られるかわからない恐怖。それは、過度な自粛を生み出し言論、表現の自由を萎縮させることになる。

ただ、この問題を長年取材してきて実感しているのは、この制度は、審査基準も運用もすべてがテキトーだという点だ。この間、自主規制やゾーニングが進み、インターネットも登場したというのに、デジタルデータは対象外だし、通知は「ハガキ」のまま。大昔に決まったことを惰性で続けているとしか思えない制度なのだ。もうそろそろ廃止しても、誰も困らないと思うのだが、いつまで続いていくのだろうか……。

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