仲の悪い両親より、仲の良い片親――科学的研究が導き出した「できのいい子」の親の共通点
洋の東西を問わず、親は子どもに成功してほしいと願うもの。子どもを確実に成功者に育てる方法はありませんが、さまざまな科学的研究によって、成功者の親に共通点があることが分かっているそうです。11月25日付の米ビジネスインサイダーに、研究によって導き出された10個の仮説がまとめられています。(文:夢野響子)
1.子どもに「家事」をさせている親
元スタンフォード大学の新入生の学部長で「大人の育て方」の著者があるジュリー・リスコット‐ハイム氏は、子どもに家事をさせることの重要性を説きます。
家事をして育った子どもは、職場でも同僚と協調でき、他人に思いやりを持てる大人に育ちます。ゴミ捨てや自分の服の洗濯をすることで、子どもは「生きるためには自分も働かなければならない」ということを学ぶのです。
2.子どもに「社会的スキル」を教えている親
ペンシルバニア州立大学の研究によると、幼稚園児の社会的スキルと、20年後の彼らの成功に相関関係があることが見つかりました。大人の手助けなしに仲間と協力できる子どもは、他人を助け、自分で問題を解決できるようになり、25歳までに大学を卒業してフルタイムの仕事に就く確率が高いそうです。
逆に社会性の低い子どもは、後に暴飲したり逮捕されたりする確率が高くなっています。子どもが社会的、感情的なスキルを身に着けるのを助けることは、健全な将来のために最も重要な投資と言えるでしょう。
3.子どもに「高い期待」を抱いている親
カリフォルニア大学の研究では、親が子どもに抱く期待が、子どもの目標達成に大きな影響を持っていることが分かりました。
4.仲の悪い両親より、仲の良い片親
イリノイ大学の研究では、仲の悪い両親の子どもより、片親の子どもの方が成功しているそうです。両方の親が揃っていればいい、というものではないのですね。
5.「高等教育」を受けている母親
ミシガン大学の研究では、高等教育を出ている母親の子どもは高等教育へ進む率が高く、18歳以下の母親の子どもは、高校を卒業する率が低くなっています。子どもが8歳の時の両親の教育レベルが、その後40年間の成功を決めるというボーリング・グリーン州立大学の研究結果もあります。
6.子どもに早くから「算数」を教えている親
米国、カナダ、英国の3万5000人の幼稚園児を対象とした2007年の調査では、早期に算数を教えることのメリットが見つかっています。数字の順序や基礎的な算数概念は、子どもにとってはパズルのようなものです。早期の算数知識の習得は、その後の読み能力の取得にも影響するようです。
7.子どもとよい関係を築いている親
3歳までに繊細に育てられた子どもは、よい人間関係を築くことができ、学術的にも成功します。繊細な親は、子どもの必要に素早く的確に対応するため、子どもに安心感を育みます。幼児期に子どもに時間を費やすことは、長期的な利益となります。
8.リラックスしている親
3歳から11歳までに母親が子どもと過ごす時間は、子どもの行動様式や成功率にも関係するそうです。しかしあまりにも子どもに集中しすぎるのは逆効果になります。仕事や育児に奮闘してイライラしている母親は、子どもに悪影響を与えています。感情は感染するからです。
9.働いている母親
家の外で働いている母親の子どもは、家にいる母親の子どもより、役職に就く率が23%高いという研究結果もあります。これは母親がロールモデル(模範)になっているということでしょう。
10.経済的に恵まれている親
米国でも貧困の差は25年前より開き、現在子どもの2割が貧困とされています。収入の高い家庭の子どもほど、SAT(米国で高校生が大学に入るために受ける全国統一試験)のスコアも高くなっています。
各項目に心当たりがある人も多いかと思いますが、因果関係が分からないものもあります。もしかすると遺伝的要素もあるのかもしれませんし、最後の項目などは「結局は親の経済力が、子どもの成功を決定するのか」と考えると白けてしまいます。
大事なことは、これに当てはまらないからといって「うちの子どもは成功しない」と決め付けないことでしょう。「うちは貧乏だから子どもも成功しない」と考えれば、子どもの可能性を狭めてしまいます。
裕福な家庭に育ったから自堕落な子どもになることもあるし、貧しい家庭に育ったから地道な努力を大切にする子どもになることも実際にあります。改善の参考にしつつ、決定的なものとして気にしすぎないことも必要だと思います。
(参照)Science says parents of successful kids have these 11 things in common(Business Insider)
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