夢のために風俗店で働く女子大生 恋愛も結婚も車も子どもも「お金がないから欲しがれない」
記事では、著書「下流老人」(朝日新書)や「貧困世代」(講談社現代新書)で話題のNPO法人ほっとプラス代表・藤田孝典氏が、若者世代のリアルな貧困事情についてこう話している。
「団塊世代の貧困格差よりも、今の10代~30代の若者の方が悲惨です。目標を持つ学生ほど過酷な労働に追い込まれていて、『海外留学したい』『資格などをとってスキルアップしたい』と真面目に将来を考える女子大生の相当数が風俗店で働いています」
こう話す背景には、親世代の賃金が減っているということがある。仕送りが期待できず、生活費を自分で稼がざるを得ないのが現状。それなりにお金のかかる留学や資格取得を目指すなら、生活費以上のプラスアルファを稼がなければ実現できないというわけだ。
大学生の2人に1人が奨学金を利用している今、無事に卒業し就職できたとしても、待ち受けるのは奨学金の返済地獄。給料から毎月出て行く家賃・光熱費・返済費を引くと、手元に残るのはわずかな生活費だ。遊びや交際費、趣味に使えるお金などほとんどない。
近年の若者の特徴といわれる「恋愛・結婚に興味がない」「車を持たない」について、藤田氏はこう考える。
「若い世代は『草食系』だの、やれ『欲がない』などといわれますが、聞けば彼らは『本当はデートも旅行もしたい。車も買いたい』と言うのです。そんな『欲しいものを買う』という大人にとって当たり前のことが、彼らには簡単に手の届かない贅沢になってしまっているのです」
単に草食化したのではなく、何もかも贅沢品になった
デートをするにもお金がかかる。結婚だってそうだ。子どもを持つなど、なおさらそう。戦後直後などと違って、大学まで生かせるのが当たり前になっているし、有名大学まで行かないと就職にも困るという強迫観念もある。
つまり「恋愛・結婚・車・子どもなんて贅沢だ!」というのが、現在の貧困する若者世代の考えなのだ。彼らは単に草食化したのではなく、現実社会が生み出した「価値観」で生きているだけなのかもしれない。
風俗店がどの程度のサービスまで提供しているのか分からないが、若い女性ならそこままで「商品」になりうる。しかし男性は体力勝負のアルバイトくらいしか稼ぐ道はない。
記事について、コメンテーターの江原啓之は「そこまでしないと若い人たちが夢を叶えることができないのは可哀想」と同情しながらも、風俗勤務に足を踏み入れる女子大生に対し、こうコメントした。
「もう少しプライドも持ってほしい。今はインスタント時代ですぐに結果を出さなければ、みたいな風潮があるが(…)あまり自分を安く売ってほしくはないな」
「割り勘といえども大変なんだよね」と同情
さらに、都市部における貧困の深刻さにも言及。仕事を求めて地方から出てきた人の中には、一見華やいでは見えるけど、かなり無理をしている人がいっぱいいると指摘する。
「『みんなでご飯食べよう』ってなったときにも、自分だけ『ごめんなさい』とか言いにくくて、割り勘といえども大変なんだよね」
美保純も「家賃がまず高いしね」と賛同していた。飲食店や高層ビルが立ち並ぶ華やかな都心部。タワーマンションで良いワインを開けてパーティーをする人たちのすぐそばで、今日の晩御飯にも困っている若者たちがいる。その格差はあまりにも残酷で、不気味だ。
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