優先順位をつけなければ「いくら働いても仕事は終わらない」 海外で働くプログラマーのブログが話題
残業や長時間労働が常態化している企業が少なくない。その原因は、仕事の優先順位をつけずにだらだら働く仕事の仕方が原因かもしれない。
ニュージーランドでプログラマーをしているブロガー、はっしーさんが8月15日、「『いくら長時間働いても仕事は終わらない』と語る上司」というブログを投稿し、話題になっている。
「知的労働を『完璧に終わらせる』ことなど不可能」
はっしーさんは会社のチームリーダーの女性との面談で、「困ったことはないか?」と尋ねられたとき、「すごく楽しいですよ。日本で働いた会社とは大違いです」と回答。その理由を、残業も徹夜でのバグ修正もなく、適度な作業量で集中できる点を挙げた。
プログラマーの仕事ではシステムのバグ対応を行うが、一つのバグを解消しても次のバグが発生することがある。はっしーさんも、日本で働いていた際、いくら残業をしても納期内に仕事が終わらなかったという。そうした働き方に対してニュージーランド企業のチームリーダーの女性は、「残業はするだけ無駄」だと話し、その理由をこう説明したという。
「わたしだって、できることなら全ての問題を修正したいし、全てのタスクをかたづけてしまいたい。でも現実にはそれは不可能なの。常に苦渋の決断をしながら、メンバーに残業が発生しないように、これはやらない、これは後回し、って、優先順位をつけてるわけ。それがマネージャーの仕事だから」
この言葉に衝撃を受けたはっしーさんは、あらゆるタスクを期間内に終わらせることを立派なマネジメントだと勘違いする管理職が世の中には多いと指摘。「知的労働を『完璧に終わらせる』ことなど不可能」とも書いている。
日本は「みんなで輪になって首を絞め合っている美しい国」
記事には約1400件のブックマークがついた。「まったくだと思う」と同意する人も少なくない。
「(優先順位をつけるのは)当たり前だろ、それを管理するのが上司の仕事だろ」
「だからこそ、『何をやらないか?』について考え続けるクセが必要になるのよね」
やはり、はっしーさんの言う通り、知的労働には終わりがない。優先順位をつけ、区切りをつけて終わらせるマネージメントが日本では必要だろう。
一方で、日本と欧米ではユーザーや顧客が求めるレベルが違うから無理、という意見も少なくない。
「品質至上主義の日本のシステム開発現場では難しい話。現場や上司は分かっていても顧客は納得出来ない」
「日本は完璧を求めるからなぁ。そりゃ無理よっての多いんだけど」
IT業界に関わらず、日本では不具合がないことが大前提で、減点法で評価されることが多い。そのため、「最悪機能すればOK」といったような欧米的なオペレーションはできない、というのだ。中には、
「他業種でもそうだろうけど、業者への異常なまでの高水準の要求、みんなで輪になって首を絞め合っている美しい国。待っているのは、未婚率上昇、出生率低下、デスマ、カローシ、ノー・ワーク・ライフ・バランス」
と、日本の現状を痛烈に皮肉る人もいた。長時間労働をなくしていくためには、まずは日本人の根本的な考え方を変えていかなければいけないだろう。
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