タダで出演依頼し、過剰なキャラ付け要求――外国人ユーチューバーが語る「日本でのテレビ出演をやめた」理由
福岡在住の人気ユーチューバー、ミカエラ・ブレスウェートさんが9月7日、「タレント活動をやめた理由(Why I Quit Japanese TV)」という動画を公開した。日本でのテレビ出演をやめるに至った経緯を語り、話題となっている。
カナダ生まれのミカエラさんは17歳のとき、交換留学生として来日。2007年頃から、日本での暮らしを日本語と英語両方で紹介する動画をYouTube上にアップするようになり、現在約27万人が登録する人気チャンネルとなっている。
一時は芸能事務所にも所属し、地元局の番組だけでなく、全国区のバラエティー番組にも出演するなど、活動の幅を広げていた。
SNSでの番組宣伝も依頼し、ユーチューバーの影響力にフリーライド
ここ最近は以前のようにテレビで見かけることはなくなっていたが、ミカエラさんとしては色々と思うところがあったようだ。動画では、「あくまで個人的な話」としながらも、テレビ出演時に納得できなかったことについて語っている。
「一番最初に文句をつけたいところは、『宣伝になるから』と言って、タダで出演をお願いすることです。(中略)密着取材やVTR、インスタジオのインタビューなど、たくさんあったけど、お金は出ませんでした」
当時ミカエラさんは英会話教室で働いていたが、テレビ出演するためにクラスを減らさねばならず、お金が減った時期もあったという。さらに、「ツイッターやYouTubeで番組を宣伝してね!」と言われるのも受け入れられなかった。
「私が長年にわたって力を時間をかけて頑張って集めた視聴者たちを、自分のテレビ番組の視聴率を上げるために利用しているんです(中略)頑張って作り上げてきたものを利用するなら、ちゃんと(金銭的な報酬で)補ってほしいです」
どんなに人気でもユーチューバーは「偽物タレント」扱い
ミカエラさんは、テレビ番組で強要される「キャラ作り」も嫌だったと語る。とある番組でコンビニを紹介したことがあった。日本在住歴の長いミカエラさんにとっては、コンビニはすでにありふれた日常のものだったが、撮影中にディレクター「笑顔で!元気で!もっと興奮してて!」などとキャラ作りを要求され続けたという。
「コンビニの凄いところは言える。紹介もできるけど、馬鹿騒ぎしないですよ。普通は」
その後、番組を見た自分のファンから「ミカエラこんな人物じゃなかった気が……」「性格変わりましたね」などとコメントされ、ショックを受けたという。
ミカエラさんは、次第にテレビ番組に出演することに誇りを感じなくなっていく。街中で、「テレビで見ました」と言われても、「テレビが決めたキャラが好きなのか、私が好きなのか」と悩んで落ち込むこともあった。
また、芸能界に存在する「階層」についても触れた。ユーチューバーは芸能界では「下の下」とされ、「偽物タレント」として扱われることも嫌だったという。
その上で、タレント活動を経験できたことはよかったと感じているが、「私は向いてなかったんです。やっぱりユーチューバーとしていたいです。本当の自分を受け入れてくれる人たちがいれば幸せです」と現在の気持ちを吐露した。
動画は13日現在までに約13万回再生された。コメント欄やツイッターでは、「最近、テレビで見かけなくなったので心配していましたが、そういうことだったんですね」といったコメントのほか、
「テレビで仕事してもほとんどタダ働き。テレビ局の思う『外国人らしさ』を押し付けられる。そりゃあ嫌にもなるよね」 「テレビってほんとヤラセばっかりだなぁ…」
など、日本のテレビ業界を批判する書き込みが寄せられていた。
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