「72時間ホンネテレビ」成功で日本のメディア業界はどうなる? 識者は「ネットテレビと地上波のすみ分けが進む」と指摘
稲垣さん、草なぎさん、香取さんの3人は、ジャニーズ事務所を辞めてからというもの、大手キー局での目立った活動が見られなくなっていた。そんな3人がネットテレビでかなりの注目を集めたことから、
「ジャニーズ脱退者は絶対干されると思ってたけど、今の時代ネットTVがあるからどうとでもなる感じがアツイ」
といった声が上がっていた。番組では、元メンバーの森且行さん(43)と3人が21年ぶりに共演。これもしがらみのないネットだからこそ実現できた。森さんを指す「森くん」というハッシュタグは一時、ツイッターのトレンドで世界1位となった。
同番組の放映中には、放送画面をスクリーンショットで撮影してツイートし、「いいね」の数を競う「72時間スクショ選手権」といった地上波のテレビでは見られない試みも行われた。
一連の企画がネットでかなりの話題となったため、毎日新聞や読売新聞といった大手全国紙も番組について報道。「インターネットTV、SNSの大事件をオールドメディアが報じる形。メディア史、芸能界史のどちらでも特別なこととして記録されることだろう」とツイートした人もいた。
ネットテレビには「ターゲットを絞った広告を出しやすい」という強みも
大成功に終わった「ホンネテレビ」だが、ITジャーナリストの井上トシユキさんは、「決して7200万人もの人が視聴したわけではない」と指摘する。
「累計視聴数が7200万人といっても、実際に視聴していたのは500~600万人、テレビの視聴率だとすると5%程度ではないでしょうか。1人の人が何度も番組にアクセスしているのだと思います」
同番組は、72時間と長かったため、一度視聴をやめてからまた視聴したという人も多いのではないだろうか。それが累計視聴数を押し上げた可能性は高い。
また、サイバーエージェントの決算資料によると、2017年のひと月当たりの利用者数は約720~960万人で推移している。実際に番組を見た人の数も、そこから推して知るべしだろう。
とはいえ、やはりAbemaTVを始めとしたネットテレビには、地上波のテレビにはない強みがある。
「例えば、有料化してクレジットカードやキャリア決済を用いれば、主な視聴者の年齢や性別を特定することができます。そうすれば、ターゲットを絞った広告を出しやすいのです。今後、スポンサーが増えていく可能性は高いと思います」
サイバーエージェントが先月発表した2017年度通期連結決算によると、AbemaTVは209億円の赤字。今回の成功を、いかにスポンサーにアピールしていくかが黒字化のカギになってくるだろう。今後、ネットテレビは、地上波のテレビ局と比肩までに成長するのだろうか。
「インターネットテレビと地上波のテレビは、競合ではなく、”すみ分け”するのではないでしょうか。ネットテレビは、地上波とは違う『本音』や『素』の部分を出せる媒体だと思います」
※ウェブ媒体やテレビ番組等で記事を引用する際は恐れ入りますが「キャリコネニュース」の明記をお願いします。