パリ郊外の日本食レストランの店先にフランス語で「コロナウイルス 消え失せろ」などと差別的な落書きがされる事件があった。これについてパリ在住の作家、辻仁成さんが2月20日、自身のブログで見解を述べた。パリの中華街でもこのような落書きがされているが、
「これを日本人が自分らのこと言われていると誤読してはいけない。書いた人間のレベルの低さを、フランス人が日本人に差別してるぜ、という風に置き換えてはならない。これは本当に注意するべきことだ」
と呼びかけた。
SNSでは「この店を応援しようぜ」という書き込みも
辻さんは、このニュースで話題となった日本食屋の近くに行く機会があった。在仏日本人の中には外出を控えていると報じた日本メディアの記事について「そんな在仏日本人いるかなぁ? ちょっと大げさじゃないか」と述べている。
辻さんによると、差別的な落書きが報じられたレストランの店構えは中華系の和食チェーン店で、オーナーも従業員も中国系であることが多いという。辻さんは「普通のフランス人ならここが中国人経営の店だとすぐにわかる」と綴る。
「一応、16区は高級地区と言われているが、ここはブローニュの森も近く、割と普通の通りに面した場所である。郊外なので、日本人が経営する和食店などはあまりない」
また同店と、周辺を縄張りとする若い不良たちとの間に揉め事があるのではないかと推測。同店は不良たちのはけ口として差別的な落書きをされたのではないかという。そのため、
「日本のメディアはこれを日本人への差別と思っちゃいけないし、もう少し調べて書いた方がいい。こういう時節柄、そこだけが一人歩きするのは本当に危険だと思う」
「今回の落書きを書いた人間のような理性を欠いた奴らは世界中どこにでもいるので、一般のフランス人をそこにカウントしてはならない」
と述べた。SNSでは「この店を応援しようぜ」という書き込みもあったという。
これに対してツイッターでは、「私も日本に住んでいる人に差別されてない?と心配されましたが全くされていません」「ニュースから流れるコロナのせいでアジア系の人が差別されることを心配していたので、ちょっとホッとしました」など報道のあり方に疑問を抱く人も見られた。