新型コロナウイルスの感染拡大を受け、全国的に消毒用アルコール液の需給がひっ迫している。そんな中、若鶴酒造(富山県)が今週発売した消毒液としても使える高濃度アルコール製品「砺波野スピリット77」(アルコール度数77%)をめぐり、同社が“異例のお願い”をする事態になった。
4月上旬に発売情報を出すと、医療機関や介護施設からの問い合わせが殺到。こうした電話を現在も続いているといい、リリースでは
「小さな酒造ですので電話回線が限られており回線がパンクしてしまうと業務に支障がでます。資材の入荷や出荷に影響が及べば計画的な製造や必要とされている方に製品を早く届けることが困難になってしまいます」
と述べ、メールもしくはファクスでの問い合わせを促した。
「取り置き、入荷案内、個別発送は行っておりません」
また、個人客に向けても「混乱防止の観点から、取り置きや入荷案内、個別発送は一切行っておりません」とアナウンス。オンラインショップでの販売も行ってないという。同社敷地内、富山駅内にある直営店では不定期の販売があるようだ。
さらに、週あたり約1000本と生産本数に限りがあること、医療機関を優先して出荷していること、多くの人に届けたいなどの思いから、直営店での購入数は一世帯あたり1本に限定していることにも理解を求めた。
同社の担当者は今月上旬、キャリコネニュースの取材に「少しでも力になりたいという思いなので、なるべく早く必要な方にお届けしたいです」と思いを語っていた。しかし、反響の大きさから、その思いが叶わなくなりそうな事態に陥っている。
リリースでは改めて、
「不安をかかえて生活していらっしゃる方のお気持ちはもっともです。ただ、そんなときだからこそ他人のことを思いやる心を忘れないでもらえたらと思います」
と協力を呼びかけた上で「私たちも同じ人間です。行き届かないこともあると思いますが誠心誠意努めてまいりたいとおもいますのでどうかよろしくお願いいたします」とお願いした。