「非正社員が不足」(16.6%)とした企業も前年から13.2ポイント減った。業種別の最高は、スーパーマーケットなどを含む「各種商品小売」(47.6%)。次いで「教育サービス」「飲食店」「飲食料品小売」「娯楽サービス」などが続いた。
新型コロナウイルスの影響で人手不足の割合が大きく減少した一方で、人手を「過剰」とする企業の割合が増えている。「正社員が過剰」(22.9%)とした企業は、前年同期比13.6ポイント増。増加幅は「適正」(46.8%)の同4.6ポイント増を大きく上回った。
「非正社員が過剰」(21.2%)とした企業も同13.5ポイント増。「適正」(62.2%)は同0.4ポイント減でほぼ横ばいだった。
業種別で「過剰」とした企業が多かったのは、これまで人手不足割合が高かった「旅館・ホテル」が正社員(57.6%)、非正社員(51.6%)ともにトップだった。正社員では、以降に「輸送用機械・器具製造」「出版・印刷」「人材派遣・紹介」「鉄鋼・非鉄・工業」などと続く。
一方、非正社員では「輸送用機械・器具製造」「飲食店」「繊維・繊維製品・服飾品製造」「鉄鋼・非鉄・工業」などが上位だった。
「潜在的な人手不足は解決していない」という声も
人手不足の割合を月次推移でみると、「正社員が不足している」とした企業の割合は3月時点で42.1%だったが、新型コロナウイルスの影響で緊急事態宣言が発令し、経済活動が停滞した4月に激減。31.0%まで減少した。
緊急事態宣言が続いた5月も減少傾向が続き、29.1%に。同25日の全国解除を受けて、6月は29.8%、7月は30.4%と3割前後で推移している。
非正社員についても、3月時点の23.7%から4月に16.6%、5月に15.2%まで減少。6月はやや元に戻り16.0%、7月は16.6%とやはりほぼ横ばいで推移している。業種による差はみられるものの、派遣業界からは「営業案件が減り、人手が余ってきている」という声も挙がっているようだ。
日本企業で慢性的に続いていた人手不足は、新型コロナウイルスの影響で一見回復したかに思える。だが、塗装工事業の企業からは
「どの程度まで業務量が回復するかわからないが、潜在的にある人手不足は解決していない」
といった声もあり、帝国データバンクは「新型コロナウイルスが収束に近づき業務量が増加する過程で再び人手不足に陥るケースも想定される」と危惧している。今後も先行きの読めない日々が続くことが予想されるだけに、状況を注視していく必要がありそうだ。