こんなとき、まず心配するべきは夫の心や身体の状態だ。しかし家庭の経済的な柱が夫である場合、妻の頭には「生活費」の心配がよぎる。トピックの反応は、「やめて欲しくないけど、今の仕事しんどいのもわかるし言葉に困って黙ってしまう」など、妻たちの複雑な胸の内が明かされていた。それでも賛同が多かったのは、

「精神的に追い詰められて最悪の状況になるなら辞めていいと思う」

といった夫思いの言葉だ。よほどのことが無い限り、こうした考えの人がほとんどだろう。「辞めたいって言い出したらとにかく『何かつらいことがあったの？』って聞くことしかできないな」など、「とりあえず話を聞く」という対応を取る人も少なくない。

一方、「辞めさせた」「転職して良かった」という声も複数寄せられている。

「数年前公務員だった夫が転職しました。うちも子どもは居ません。肩を落として出勤していた後ろ姿が目に焼き付いてます。今の職場でも色々あると思いますが、好きな仕事に就いたのでとりあえず転職して良かったと思ってます」

このほか、「仕事が合わなくて3か月で辞めてたよ」と書いた女性は、「合わないのに続けさせても旦那は不幸だし、そんな旦那を見てるこっちも不幸になる」として、今は再就職して落ち着いてると報告した。これらは事態が好転した良いエピソードだ。

先月発表の厚生労働省「過労死等の労災補償状況」（2020年度）によれば、仕事のストレスが原因で精神障害を発症し労災認定された人は、前年度比99件増の608人で過去最多となった。経済的な心配はあるとしても、一度心身を病むと何年も働けなくなってしまう可能性もある。思い切って背中を押すのも、一番近くにいる妻の役目かもしれない。

「辞めていいよ！」と言っても辞めない夫、弱音を吐きたいだけ？

他方、トピックでは「『辞めていいよ』と言ったけれど、辞めていない」という声も目立つ。

「私の給料だけで生活できるから『辞めたらいいよ』って言いました。結局辞めなかったけどね」
「心身壊したら大変だから『いつでも辞めな！明日上司に言ってきたら？いつでもいいよ！』って言ってる。それでも結局はなぜか辞めないけど」

こうした声に共通するのは、「私も稼いでるし全然OK」といった頼もしい妻であることだ。夫婦の働き方にはそれぞれの事情があるとはいえ、やはり「妻もがっつり働く共働き」であることは、大きな強みになる。

しかし中には、無職の妻が「辞めていいぞ、今後の事はとりあえず辞めてから考えるかー」と言ったところ、「ローンがあるから」と真顔で返されたという声も。妻のお気楽なひと言から現実に引き戻されたのだろう。「辞めたい」と口にしても辞めずに頑張る夫たちは、妻に弱音を吐いて少しだけラクになりたいだけかもしれない。その意味で、「とりあえず話を聞く」という対応も正解と言えそうだ。