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「サイゼで喜ぶ彼女」に居心地の悪さを感じた理由を考える

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「サイゼで喜ぶ彼女」というイラストがネット上で物議を醸している。ミラノ風ドリアを前に満面の笑みを浮かべる可愛い女性。このイラストを見て当の若い女性はどのように感じたのか。社会人1年目の女性ライター、HOKUさんに寄稿してもらった。
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皆さんはもうご覧になっただろうか。そう、もう何度目かわからない、かの有名な未解決命題、「サイゼ×デート」問題の再来である。 今回の震源地は、「サイゼで喜ぶ彼女」という言葉とともにTwitter上に投稿された、サイゼリヤで食事をする女性のイラストだった。

ツイートを見た時の正直な印象は、「なんか居心地が悪い」だった。可愛い絵も好きだし、おっぱいの大きい女の人も好きだし、サイゼリヤも好きなのに。このイラストを見て「身動きがうまく取れない」となぜ感じたのか。社会人1年目の女として、考えてみようと思う。(文:HOKU)

「サイゼを喜ばない女は不合格」と言われている気持ち

問題は「サイゼ」という言葉の持つ意味だ。一般的に、サイゼリヤというレストランには「美味しい」だけじゃなくて「安い」というイメージがある。そのため私は「サイゼで喜ぶ彼女」という言葉に、「安いレストランでも喜ぶ(都合のいい)彼女」というニュアンスを感じていた。

それはきっと、私の頭の中に「初デートサイゼ論争」があるからだろう。例の、「初デートにサイゼを選んだ時の女性側の反応によって、金目当ての女を排除できる」というツイートが引き起こした論争のことだ。元ツイートはとっくに削除済みだが、あの強烈な印象は忘れようにも忘れられない。

実際のところ多くの人は、初デートがサイゼでも問題ないかどうかは年齢や関係性によって大きく変わってくる、ケース・バイ・ケース、という認識だろう。でも、何万人にもリツイートされて支持されているこのイラストを眺めていると、私は「サイゼを喜ばない女は不合格」と言われている気持ちになってくる。

つまり、私が「身動きが取れなくなると感じた」理由は、お前は「サイゼを喜ぶ女」になのか、それとも「サイゼを喜ばない女」なのか、どちらサイドの人間なのかと問い詰められているような感じがしたからだ。

このイラストをみても、私は「彼女」の視線の先にいるのが自分だというイメージを、リアルに思い浮かべられなかった。もし私が向かいに座っている相手なら、存在感なく彼女を見つめているだけじゃなくて、彼女と同じぐらいサイゼを楽しんでいる気がする。私なら一緒にはしゃぎたいし、一緒に楽しい空間を作りたいし、それが二人でいる醍醐味ってことじゃないの?

そんなことを考えていて、このイラストの彼女が、サイゼの食事だけでこんな笑顔になるなら、自分じゃなくて他の人と来ても同じような笑顔を見せちゃうんじゃないかな。もしそうだとしたら、実はちょっと寂しいのでは? とか、ついつい余計なことまで想像してしまった。

サイゼを、女を試す場所に使わないで

次に、もし私が「彼女側」の立場だったらどうだろう、というのも考えてみた。

私はサイゼの料理が好きだ。だから、こんな笑顔ではしゃぐこともあるかもしれない。でも、それは相手もおなじように笑顔ではしゃいでいる場合に限られると思う。自分の身の回りには「サイゼリヤで喜ぶ都合の良い彼女が欲しい」と言いそうな人は少なくて、むしろ性別を問わず「一緒にいるときは、それを全力で楽しもう」という人が多いからかもしれない。

どちらのケースでも、やはり「サイゼで喜ぶ」という言葉遣いは引っかかる。もし自分がそう言われたら「サイゼで喜んじゃうの可愛いね」などと見下された感を覚えるだろう。もし、そういう意味がちょっとでもあるなら、サイゼにも彼女にも失礼じゃない?

映画の後、カフェが混んでいてどこも空いていなくて、いてもたってもいられずサイゼリヤになだれ込んで映画の感想を話し込むみたいな「サイゼリヤデート」がしたい。サイゼリヤに昼から入ってドリンクバーとミラノ風ドリアを頼んで、盛り上がって気がついたら夜で、ドリンクバー1杯しか飲んでないけどバタバタ帰る、みたいなことを24になった今でもやりたくなる。約束の時間まで30分あって駅前にサイゼリヤがあったら絶対に入って、辛味チキンを頼んで、後になって友達と行ったカフェで後悔するタイプだ。

だから、サイゼリヤは「初デートにサイゼリヤに行こうと言って、がっかりしたら金目当ての女」みたいな、女を試すための場所なんかに使ってほしくない。もう誰も、私たちのサイゼリヤに変な意味づけをこれ以上しないで欲しい。

まあ、この絵をTwitterで見たとき、私は大戸屋にいて、真顔でチキンかあさん煮定食を食べていたんだけれども。

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