東大松尾教授「真のDXは複利計算モデルで説明できる」 | NEXT DX LEADER

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この動画で学べること

  • 最先端技術といわれるAIやディープラーニングとDXとの関係が理解できる。
  • 真のDXが目指すべき「経営革新」がどのようなものなのかが分かる。
  • DXに臨む日本企業の課題と成功へのステップのヒントが得られる。

こんな人におすすめ!

  • DXとAIやディープラーニングとの関係を整理して理解したい人。
  • 紙手続きのデジタル化がDXのように語られている現状に不満を抱いている人。
  • 衰退する会社業績を回復させるためにDXが使えないものか、と考えている人。

サイクルタイムを短縮し「実質的な運用期間」を増やす

DXを学びたい男性
この動画ではどんなことが学べるの?
DXに詳しいロボット
コンピュータの画面表示や画像処理に特化した半導体チップ「GPU」の開発・販売を行うエヌビディア(NVIDIA)のYouTubeチャンネルに、AI研究の第一人者と言われる東京大学大学院の松尾豊教授が登場しているよ。

いきなり少し難しい話になるけど、動画の中で松尾教授はDXを「y(t)=a(1+r)^t」という複利計算モデルで説明し、「DXとはtを大きくするための手段である/tが大きくならない取り組みはDXではない」という仮説を提示していて、そこが興味深かったよ。
DXを学びたい男性
なんか難しそうだけど、その数式はどういう意味なの?
DXに詳しいロボット
この式は、aが元本、rが利率、tが運用期間、y(t)がt年後の金額を指す。t年後の金額は、元本に1と利率を加えたもののt乗を掛けたものとなる。

これまでのビジネスは、rの利率=成長率を大きくしていくことを目指していたが、運用期間であるtは「待つ」しかなかった。でも、DXを進めた会社はサイクルタイムを短くできるので、実質的にtを大きくしたのと同じ効果が得られるようになったという。

rを大きくするとは「年率5%の成長を頑張って25%にする」ということで、DXによってtを大きくするとは「年率5%の成長を頑張って速度を5倍にする」世界に変わるということだ。

そして真のDXとは「tを大きくするための手段」であり、全体のサイクルタイムを早めるためにAIやディープラーニングを活用して複利効果を生み出すことであって、業務の一部をデジタル化するだけでは意味がないと言っている。

どんな衰退領域でもチャレンジ次第で成長事業ができる時代

DXを学びたい男性
それが実現できれば、複利だから指数関数的に成長していくわけだね。でも、本当にそんなことができるの?
DXに詳しいロボット
松尾教授は、60年で9倍に成長した自動車産業と、13年で13倍になったGAFAや9年で200倍に成長したテスラを比較している。

そして「ディーラーを持たない」「口コミマーケティング」「ワイヤレス・ソフト・アップデート」「工場の自動化」というテスラの施策が、すべてtを増やすためと考えると納得できる、と指摘している。

この背景には、ソフトウェアの変更によってサービスをデプロイ(実装)するスピードが上がったという要因がある。したがってハードウェアの世界でも、ソフトウェアによる可変部分を大きくしておき、ニーズ探索や改善をスピーディに行うことが必要だという。
DXを学びたい男性
なるほどね。でも、過去の成功体験を手放せない日本企業で、そのようなDXというのは実現できるのだろうか。
DXに詳しいロボット
松尾教授も、どんなにいいポジションを取っていても、社内の抵抗勢力に遭ったり、経営層が方向性を示せなかったりすると、どうやっても成長できない企業があると言っていたね。

一方で、どんなに枯れた衰退産業に見える領域でも、前のめりにチャレンジして動かしていこうという気持ちひとつで、あっという間に成長事業ができてしまう時代であるとも言っている。松尾教授が特に期待しているのは、嗅覚が利いて腕力のあるオーナー経営者だ。

また、大企業の中にも「やればできるのに」という素養のある人がいるので、何人かで集まって話をしていると急に理解が深まることがあるように、新たな試みをしている人たちが気軽に集まって情報交換をする場があるといいと言っている。

他にも刺激的な話がたくさんあったので、会社を変えたいと思うリーダーや経営者は、ぜひ動画を見て、諦めずに技術に関する情報収集や勉強をしたり、自分で手を動かして試行錯誤をしたりすることの重要さを学んでほしいと思ったよ。

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YouTube:DX Channel Vol.1 : 〔ゲストトーク 東大 松尾教授〕 DXの本質 ~何を目指し、どう実現させるか~ 目からうろこの60分

考察記事執筆:NDX編集部

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