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「訴えてやる!」と息巻くクレーマーに「ご自由にどうぞ。この通話は録音しています」と言い返したエピソード

画像はイメージ

スーパーの客層は多種多様だが、なかにはとんでもないクレーマーもいるから困ったものだ。福井県の40代後半の男性(医療・福祉・介護)は、以前スーパーで夜間の店長代行をしていたときの経験を語る。

「閉店間際に電話が鳴り嫌な予感がしたんですが、出てみると案の定意味不明なクレームでした。声の感じは20~30代男性で『おまえの店で買ったコーラが家で開けたら噴き出した!部屋のクリーニング代と迷惑料払え!保健所に言うぞ!おまえらのところの店員が嫌がらせで、ボトル振ってるんやろ!』などの暴言連発」

そのクレーマーは、男性の聞き取りには一切応じず、暴言を繰り返すばかりだった。店長と連絡がつかないため、男性は仕方なく自力で対応に臨んだ。(文:福岡ちはや)

「『この通話は録音しています』と言うと、急に黙り込んでガチャ切りされました」

クレーマーとのやり取りは困難を極めた。男性がレシートの有無を聞けば「捨てた!そんなもんあるか!」、住所や連絡先を聞けば「個人情報保護法」「何するつもりや!」と吐き捨てられ、埒が明かない。そうこうしているうちに、とうとうスーパーの閉店時間になってしまった。男性は、

「現状どうしようもないと伝えると『訴えてやる!』と言って来たので、『ご自由にどうぞ。この通話は録音しています』と言うと、急に黙り込んでガチャ切りされました」

と振り返る。クレーマー本人も、むちゃを言っている自覚はあったのかもしれない。

これで一件落着かと思いきや、後日また同じ時間帯に電話が鳴り、男性は「またか~」と電話を取った。次のクレームは、

「おまえのところで買ったトマトが腐ってた!すぐに交換しに来い!保健所に通報する!」

だった。

「日本語も読めんなら、勉強してから電話して来い!」

再びのクレームにも男性は動じることなく、冷静に対応した。今度はレシートの有無を聞くと「あるって言ってるやろが!」と返答があり、自宅の住所も教えてくれたという。そこで男性はスーパーの閉店後、商品代金と2000円の菓子折りを持ち、店から20㎞離れたクレーマーの自宅に訪問した。チャイムを鳴らすとドアが開き、クレーマーが「これや!」と問題の商品を見せてきたのだが……。

男性「……うちじゃ扱ってない商品です」
クレーマー「はぁ?!何言っとんじゃ!」
男性「レシート確認させてもらっていいですか?」
クレーマー「ここに書いたるやろが!」
男性「ここ、違うお店ですよ。うちは○○マートです。こちらは△△スーパーですよ」
クレーマー「はぁ?!」

内心「はぁ?!じゃねーぞ!」「日本語も読めんなら、勉強してから電話して来い!」と憤る男性。そこにクレーマーの妻が現れ、「紛らわしいんじゃ!」とさらに理不尽な暴言を吐いてきた。混乱の中、それでも男性は毅然とした態度を貫いた。

「今から警察呼んで、威力業務妨害と迷惑行為防止条例違反で届け出出しますねー」

するとクレーマーの妻は「やってみろや!ハッタリかましやがって!」と返してきたが、クレーマーは「……スイマセン」「警察は勘弁してください。ここまでの交通費で勘弁してください」と思わぬ展開に。

これには男性も「ポカーン」としたが、クレーマーが財布から5000円札を1枚抜いて手渡してきたので、素直に受け取り帰宅した。結局、理不尽なクレームは「ラッキー(笑)」で終わったのだ。

男性いわく、そのスーパーには「本当に変な客が多かったです」とのこと。

「ランニングシャツとトランクスで来るじいちゃんや、50円玉以下で支払いするおばあちゃん。大手メーカーの商品を『ニセモノ!』とほかのお客さんに言って回るボケたおじいちゃん。開店直後に、どこで手に入れたのか、半額シールを和牛に貼って持ってきたおばはんは警察行きに。カートいっぱいの商品を堂々と持って帰ろうとする老夫婦。最低でも毎日3人は万引きで警察に連れて行かれてました」

私たちにとって身近な存在のスーパー。こうした従業員の苦労を知ると、感謝や労いの言葉をかけたくなってくる。

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