何十年にもわたって毎日のように肉を食べていたのに、実は体質的に肉が苦手だった――。都内に住む43歳は「自分の食生活は何十年も間違っていたのか」と愕然としたという。(取材・文:昼間たかし)
男性は身長174センチで体重は現在70キロほど。少し太り気味の体型だ。
「もともと80キロくらいだったんですが、コロナ感染拡大の時期に、外出できないストレスで食べてばかりいたら90キロ近くになってしまって……。ちょうどその時期に以前から、暴飲暴食気味だった同僚が入院したのをみて、必死にダイエットをして体重を落としました」
メインが肉、副菜にも肉が入っているのが当たり前
同僚の入院が大きなきっかけとなったが、30代後半から食後に胃もたれを感じることが多かったのも理由だという。
「肉や脂の多い食事を取ると、疼痛を感じることもあったんです。でも、病院で診察してもらっても、常に異常なし。2年ほど前に、何軒目かの病院で医者にいわれたのが、肉や脂があわない体質だということだったんです」
これは男性にとっては衝撃的だった。なにしろ、男性は毎日夕食で一品は肉料理があるのが当たり前だと思っていたからだ。
「実家では、それが基本でした。だから、常に夕食には肉があるのが常識だし、ないと物足りなく感じてました」
大学卒業までは実家暮らしだった男性の母親は「とにかく料理が上手」だという。
「専業主婦ということもあってか、夕食のおかずは常に品数が3品目以上。メインが肉だとすると、副菜にも肉が入っているという感じですね」
聞けば、メインが豚肉の野菜炒めだったとすると、一緒に牛肉の卵とじと、鶏肉のサラダが食卓に並ぶのが、当たり前だった。もはや、どれが主菜なのかよくわからない。
「今思い返すと、当時から学校で肥満気味だと指摘されていました。でも両親は『運動が足りないんじゃないか』というだけで、特に食生活に問題があるとは思っていませんでした。一度だけ母親が『マヨネーズはカロリーが高いから、今日からドレッシングだけにしよう』といいだしたことがあったくらいです」
両親は肉をガンガン食べての太らない体質
そんな食生活で両親は大丈夫だったのだろうか。
「今もそうですけど、二人とも若い頃からずっと鶏ガラ体系なんです。肉中心の食事を、子供よりも多く食べていたはずなのに」
つまり両親は食べても太らない体質、かつ肉食をものともしない丈夫な胃腸の持ち主だったということだ。
「今年、帰省した時に両親と焼肉屋に行ったんですが70代なのに自分よりも肉を食べるんです。この人たちとは親子だけど体質はまったく違うんだと実感しました」
そんな「食育」の結果か、夕食には肉が当然の食生活で男性は自分の身体を痛めつけていたようだ。
「病院で指摘されてから、肉を食べる量を減らしたら、途端に食後に胃もたれすることがなくなりました。そのかわり、身体が脂に敏感になったのか、パンにマーガリンを塗りすぎただけで胃もたれするようになってしまいましたけどね」
ともあれ大病を患う前に食生活を改善した男性。最近の健康診断でも数値は良好だという。
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