学生の6割がブラックバイトを経験 首都圏青年ユニオンは「氷山の一角」と指摘

11月9日に厚生労働省が、大学生等1000人に対して行った「アルバイトに関する意識等調査」の結果を公表した。それによると60.5%もの学生がアルバイトとして働く上で何らかのトラブルに巻き込まれたことがあると答えている。

10人に6人ということでかなり多いが、一体どういうことなのか。学生の労働組合を支援する首都圏青年ユニオンの執行委員長の神部紅氏はキャリコネニュースの取材に対し、「6割というのは『自分の働き方が違法』だと自覚している人の数字。氷山の一角と言えます。無自覚な人を入れるともっと高くなるのでは」と話す。

家庭教師のバイトを辞めようとしたら70万円の損害賠償請求

神部紅氏(2015年8月撮影)

神部紅氏(2015年8月撮影)

神部氏によると、首都圏青年ユニオンではこれまでに30校~40校の学校に訪れ、講演会を開いているが、そこで「今までのアルバイトの働き方は違法だった」と気づく学生がほとんどだという。支援に携わる中でも、ここ数年でブラックバイトが増加していると感じているが、量だけでなくその質も変わってきていると指摘する。

「『労働対価を払わない』というトラブルに加え、最近は『辞めさせてもらえない』『損害賠償を請求する』といった、悪質なケースが増えています」

厚労省の発表では、学生がトラブルに遭ったバイト先として、最も多かったのがコンビニ(15.5%)。次が個別指導の学習塾(14.5%)、スーパーマーケット(11.4%)、居酒屋(11.3%)だった。実際にユニオンに相談に訪れる人のアルバイト先もそうした業種が主という。特にひどい事例として、家庭教師として働いていた大学生の男性のケースを挙げる。

派遣型の家庭教師として働いていた男性は、はじめの契約では週に2~3日シフトに入るはずだった。しかし、「配属先がないから」と本人の意思とは関係なくシフトを削減されたという。しかも、給与自体も未払いだったために辞めようとしたところ、「会社に迷惑がかかる」として70万円の損害賠償を請求された。

このケースでは男性は青年ユニオンに相談し、会社側の損害賠償請求が撤回されることになった。また、実質的な解雇と同様とであったため、解雇の手当として数か月分の和解金を受け取ることになったという。

学生バイトと雇用主が「共依存」関係になっているケースも

このようなブラックバイト増加の背景には一体なにがあるのか。神部氏は

「まず、不景気で正社員が減らされ、アルバイトが職場で補完的なものではなく中核的な存在になったことがあります。また、ブラックバイトと学生が共依存関係になっているケースもあります」

と説明する。飲食やコンビニなどでは、もはや正社員ではなく、アルバイトが主力だ。一方、学生は学生で、親や奨学金に頼らず自分で学費を払おうとするとアルバイトで稼ぐしかない。そこに雇用主側がつけ込み、ブラックバイトが生まれる構図となっているという。

ブラックバイトへの対応策としては、まず、「労働組合の存在を知っていることが大事」だとする。個人で解決しようとして話し合いの場を設けようにも会社側は相手にしないが、団体交渉であれば会社は対応せざるを得ない。

出勤時間と退勤時間の記録が大事

また、賃金の未払い以外にパワハラやセクハラなど複合的な要因が絡まっている場合、労基署は介入しにくいが、団体交渉であればまとめて対応できるという。

防衛策としては、労働契約書や、ない場合は求人広告を保管しておくことと、実際のシフトを記録しておくことを勧める。「シフトの記録は個人のものでも有効です。出勤時間と退勤時間を手帳に記しておくといいでしょう」と話す。

今回の調査では、アルバイトで困ったことがあったときの相談先として知人・友人(32.0%)、家族(23.6%)が多くあがったが、神部氏は「それでは解決は難しいのではないか」と語る。やはり、労働組合に相談するのが肝要のようだ。

青年ユニオンは現在さらに存在を周知させるために、「NO MORE 賃金泥棒」などの未払い一掃キャンペーン実施している。また、労基署の使い方の動画も公開予定だという。

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