父親のDVが子を「依存症」に追い込む? 臨床心理士「愛情に飢えてる人がすごく多いんですよね」
ギャンブルやアルコール、ネットや買い物など、衝動に駆られて自分の意思ではどうにもならない状況に陥ることを「依存症」といいます。日本は依存症になりやすい環境が整っており、欧米より病気という認識が低いため、より危険だとか。
4月28日放送の「バイキング」(フジテレビ)で、依存症の経験を持つ女性たちが登場し、自らの辛い体験を告白しました。買い物依存症で苦しんだ過去を持つNさんは、当時の自分をこう振り返ります。
「買い物がしたくてしたくて、しょうがない。どうしても今買わないと気が済まない。お店を見ると脳が反応して、身体が勝手にお店に行く」
好きなものを好きなように買える「快感」に溺れる
気がつけばお店の外で、両手に袋を持っている。何を買ったかもほとんど覚えておらず、「服が欲しいというより買い物がしたい!」という状態。消費者金融に手を出したNさんの借金は、最大で500万円以上に膨らみました。
「感覚が麻痺しちゃって、与信枠が自分のお財布に思えちゃう」
買い物依存症になった原因について、Nさんは「父親からのDV」と分析します。酒乱だった父親から暴言や暴力を浴び、家庭内は常に緊張状態。子どもながらに、怒られないようにと感情を抑圧する生活が高校生くらいまで続きます。
大学生になり、家に帰りたくないのでアルバイトを1日2つ以上かけ持ち。バイト代が入ってきたことをきっかけに、買い物依存が始まりました。Nさんは当時の心境を、力を込めてこう語ります。
「初めて自分の好きなものを、好きなように買えた。その快感がものすごかったんです!」
トラウマを抱える「アダルトチルドレン」が多い依存症
やがて借金を返済するために借金をする自転車操業に。ついにカードが止まり、買い物ができなくなったと分かった時、「頭が真っ白になって」2、3日呆然としていたそうです。
3年かけてやっと借金を完済したときの心境を「それはそれは忘れないですよ、あの日のことは……」と涙ぐんで語るNさん。依存症を克服するため「なぜ買うのか、いま必要なのか、本当に必要なのか」を厳しく自分に問うようにしているといいます。
Nさんは、ずっと自分を押し殺して育ったため、買い物に「自由に行動できた快感」を抱いてしまったのでしょう。元アルコール依存症として登場した女性も、父親が酒乱だったことを明かしました。
臨床心理士の山名裕子さんは、依存症になる人には「愛情に飢えてる人がすごく多いんですよね」と指摘し、幼少期に虐待など家庭が機能していない状態で育ち、大人になってトラウマを抱えている「アダルトチルドレン」にその傾向が強いと説明しました。
「趣味がない」「友達がいない」も危険因子に
ちなみに番組MCの坂上忍さんは、父親がギャンブル、借金まみれで家族が苦労したため、賭け事にハマっても絶対に借金はしないそうです。そして、そういう環境で育っても依存症になる人とならない人の境界線を気にしていました。
山名先生によれば同じ環境にあっても誰もが依存症になるわけではなく、なりやすい人は「趣味がない、友達がいない」傾向があるので、「仕事と家庭以外の自分の心の居場所、サードプレイスを持った方がいいです」とアドバイスしていました。(文:篠原みつき)
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