ホテル・旅館業界が「民泊撲滅」総決起大会を開催 既得権益の論理がどこまで支持される?

一般住宅に有償で客を泊める「民泊」をめぐって、ホテル・旅館業界が揺れている。一般の民家やマンションなどが簡単に宿泊施設になってしまえば、既存事業者が客を取られかねないと危惧しているのだ。

6月8日放送のワールドビジネスサテライト(テレビ東京)では、およそ800人が集まった業界団体による「無許可宿泊施設撲滅総決起大会」の様子を取材。ホテルの大会場では壇上で決意表明の後、拳を振り上げ「頑張るぞー! オー! オー! オー!」と掛け声で気合を入れていた。(ライター:okei)

近隣住民とのトラブル例をまとめアピール

「とまれる」のウェブサイトより

「とまれる」のウェブサイトより

そもそものきっかけは、2020年の東京オリンピックに向けて宿泊施設が不足しており、外国人観光客を吸収できないという問題がある。そこで政府は宿泊期間を「年間180日以内」に限定することなどを条件に、民泊解禁案を閣議決定している。

しかし全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会(全旅連)は、これに納得せず「民泊の営業日数は年間30日」「無許可宿泊施設には厳しい罰則を」などと訴えている。

東京・新宿区内のホテルに集まった会員たちは、民間の民泊紹介サイト「Airbnb」などが近隣住民との間で起こしたトラブル例をまとめ、プロジェクターで大映しにして紹介。全旅連の北原茂樹会長はあいさつに立ち、

「180日間の営業は、個人というよりプロのビジネスと一緒でございます!」

と断固反対を表明した。番組の問いかけにも「現状では無許可の施設がふくらんでいる。新しいルールを作っても、守ってくれるのかどうか」と懸念を語った。

現在、民泊は東京・大田区などの一部の経済特区でしか認められていない。それでも民泊を利用する外国人は増えており、去年は130万人に達したという調査もある。安く泊まれるのであれば、ホテルのサービスなど要らないという人もいるだろう。

海外ではサービスが普及していることもあり、外国人観光客の利用も手慣れたものだ。「違法な業者を仲介している」と批判を受けたAirbnbは、番組の取材に「ホスト全員に法令順守を求めている」などと書面で回答した。

業者自ら不動産を取得し「民泊」をやる道も

一方、民泊仲介業者は、既存業者を敵視するばかりではない。全旅連は決起集会のすぐ近くで旅館・ホテルの経営者向け展示会を開いており、不動産空き室・空き家物件に泊まる新サービス「TOMARERU(とまれる)」がブースを持っていた。Airbnbとの違いはヤミ民泊反対を掲げ、「全物件が合法」をうたっていることだ。

同社の三口聡之助社長は「ホテルや旅館を経営している方が、民泊に参入するのも充分やってもいいことだと思います」と語り、そのことで多様化するニーズや部屋不足にも対応できるとしている。要するに、ホテルや旅館業者が自ら不動産を取得して、民泊をやればいいということなのだ。

ただし、年間営業日の規制については「ビジネスとして(民泊を)やるなら、(180日でも)かなり厳しいと思う」と苦言を呈していた。不動産業者や民泊仲介業者が商売として行うには、年に半年しか営業できないのでは儲からないという意味らしい。

近隣住民とのトラブルは別に解決するとして、問題は利用者のニーズがあるのに事業者の既得権益を守るために禁止しつづけられるのかということだ。コメンテーターのロバート・A・フェルドマン氏は「従来の業者がニーズを無視していたともいえるので、どうやって一緒にやっていくのか考えるべき」と語った。

外国人観光客は急激に増えるが、新しい施設を作るのは間に合わない。日本人の人口もどんどん減っている。既存業者も今ある施設をいかにうまく利用するかを考えて、少ない投資で大きな利益を獲得するチャンスと考えるべきだろう。(ライター:okei)

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