経団連会長「賃上げしているのに個人消費が伸びない」が物議 「消費増税に賛成したのは誰だ」という指摘も
日本経済団体連合会の榊原定征会長は、1月5日、新年祝賀パーティーの記者会見で個人消費の伸び悩みについて言及した。「個人消費が伸びていない実態についても分析し、対応すべきである」という発言に対し、ネットでは反発が相次いでいる。
「経団連の言う通り消費税を上げたんだから、それ以上に賃上げしろよ」
経団連サイトによると、同パーティーは日本・東京商工会議所、経済同友会と共同で開催。各団体の会員企業代表者や麻生太郎副総理・財務大臣をはじめ、政治家や大使館関係者ら約1800人が出席した。
榊原会長はパーティー後の記者会見で、1月17日に発表予定の経労委報告の内容を紹介。これまで3年続けてきた賃金引き上げを今年も継続するべきだとしたうえで、「過去3年賃金引上げを続けているにも係らず個人消費が伸びていない実態についても分析し、対応すべきである」とした。
その上で、「国民の将来不安や子育て世帯の教育費負担、消費者の節約志向といった点に何ら手をつけないままでは、経済界が賃金引上げに取り組んでも消費は拡大しない」とも述べたという。
賃上げだけではなく、国の対応も不可欠ということだが、これに対しネットでは「誰のせいだと思ってるんだ」という怒りの声が相次いだ。
2014年に、経団連も賛同していた消費税増税が実施されてから、個人消費はさらに低迷を続ける。そのため「経団連の言う通り消費税を上げたんだから、それ以上に賃上げしろよ」という怒りの声が上がった。
経済学者の田中秀臣さんもツイッターで「その過去三年がちょうど消費増税に重なることをこの榊原経団連会長はまったくスルーしてますね。本当にひどい欺瞞の持ち主だ」と投稿している。
「雀の涙の賃上げしかしてないくせに何言ってんの」
企業が「まともに税金支払って、消費税下げて、国民の皆様の賃金上げりゃ個人消費あがるわ!」という指摘もある。
法人実効税率は、企業の国際競争力を高めるという名目で、2016年度に引き下げられている。消費増税で個人の負担が増すなか、法人実効税率は引き下げられているのだ。こうした状況で、「個人消費の拡大」などといわれても納得がいかないだろう。
一方で、「金がないから節約志向になったのに、節約志向をどうにかしないと賃金上げてもしょうがないって、因果が逆転してんだよ」と冷静に突っ込む人もあった。
また、「雀の涙の賃上げしかしてないくせに何言ってんの」という声も。「年金、保険料が上がっているから、それを相殺するだけの賃上げをしないと増えてないのと同じということが判ってないらしい」というのだ。
もっとも、経団連も賃上げを渋っているわけではない。昨年の春闘でも大企業を中心に多くの企業でベースアップが実現した。ただ、トヨタ自動車ですら月額1500円アップといった具合に、まだまだ心もとないのが実情だ。個人消費の拡大というのならば、多くの人々の手取りが実際に増えよるようにしてほしいものだ。