100万DLを突破した気圧予報アプリ「頭痛ーる」開発秘話 「ふくろう博士たちはこれから幸せになります」 | キャリコネニュース
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100万DLを突破した気圧予報アプリ「頭痛ーる」開発秘話 「ふくろう博士たちはこれから幸せになります」

天候の変化で体調が悪化する疾患を「気象病」と言う。その中でも、気圧の低下に伴う頭痛を訴える人は多い。

「頭痛ーる」は、そんな低気圧頭痛に苦しむ人たちに支持されている気圧予報アプリだ。1時間ごとの気圧の変化をリアルタイムで予報し、低気圧が近づいてくるとプッシュ通知で知らせてくれる。2013年に都内のIT企業ポッケが開発し、2017年5月末に100万ダウンロードを突破した。

今回、同社開発チームの一人で気象予報士の飯山隆茂さんと、キャラクターデザインを担当した安中朋哉さんに、開発背景と今後の展望を聞いた。

検証のために頭痛持ちの社員10人が毎日症状を記録

開発者の飯山さん(左)と安中さん(右)。当時の様子を振り返ります。

開発者の飯山さん(左)と安中さん(右)。当時の様子を振り返ります。

――開発のきっかけを教えてください。

飯山:弊社の女性気象予報士のアイディアが発端です。入社前に気象病を研究していた彼女が、健康と気象の関連性を世に問うアプリが出来ないか社長に提案したら、「じゃあやってみたら?」となりました。

ただ、アプリが完成するまでは手探りの連続でした。何しろ「気圧が下がると頭痛が起きる」という現象自体、まだ仮説でしたから。検証のため半年間、頭痛持ちの社員約10人に声をかけ、毎日頭痛の有無や痛みの種類を記録してもらったんです。

――結果はどうでしたか?

飯山:法則性は見えてきました。社員から記録を報告される前に「この日、頭痛だった?」と聞くと当たっていた、なんてこともありましたね。開発で組むロジックにも見通しがついてきた頃、デザイナーの安中に協力を要請しました。

安中:「このアプリ本当に浸透するの?」って不安はここの時もまだありました。社内の検証を元に予報のロジックを組むので社員の頭痛は予測出来ますが、同じロジックが社外で通用する確証は無いなと。

飯山:予報が全然当たらない可能性も覚悟の上での開発でした。

“マロ”が生まれた訳「痛みに苦しむユーザーに寄り添う存在が必要だと思った」

警戒マークが出ると博士の目が光るなど「小ネタはたくさん仕込んでいる」と安中さん。

警戒マークが出ると博士の目が光るなど「小ネタはたくさん仕込んでいる」と安中さん。

――安中さんの担当する「デザイン」は、使う人が目にする画面のレイアウトや表示、いわゆるUIの部分ですよね。確証が無い中でUIを考えるにあたり、どんな工夫をしましたか?

安中:「親しみやすさ」と「分かりやすさ」の2つに全力をかけました。気圧と頭痛を予報するサービスはこれが初ですから、胡散臭いと警戒する人もいるはずです。まるで昔からあったかのようなデザインに落とし込み、不信感を払しょくしたかったんです。

――デザインと言えば、頭痛ーるには3匹のキャラクターがいます。

安中:気象予報士の「ふくろう博士(ひろし)」、博士の養子で猫の「マロ」、謎のてるてる坊主「てるてるネコ」ですね。

――この子たちも「親しみやすさ」の追求から生まれたのですか?

安中:そうですね。あと、優しさや癒しの象徴です。アプリを開くのは頭痛で苦しんでいる時じゃないですか。その時、ユーザーの苦しみに寄り添うような存在がいたほうが良いなと。

飯山:気象病の概念を説明する役割も担っています。

安中:マロはユーザーと同じ目線に立ち、一緒に成長していくキャラクター。博士は気象や頭痛の知識を教えるガイド役で、てるてるネコは2人を見守る存在です。

――ふくろう博士は、自身が天気予報を外したせいでマロの母親を死なせてしまったと自身を責めています。なぜこうした重い背景を設定したのでしょうか。

安中:どこまで言っていいんだろう……ええと、3人ともこれから幸せになっていくので安心してくださいとだけ(笑)

フクロウ博士たちの背景ストーリー(アプリ内に収録されています)

フクロウ博士たちの背景ストーリー(アプリ内に収録されています)

――他に、「分かりやすさ」で苦労した点はありますか?

安中:グラフの見せ方です。気圧は1日の間でも変わりますが、季節によっても違うんですよ。夏と冬では値が全然違うので、メモリを固定すると画面内に収まらないんです。左側のメモリが気圧の折れ線グラフと一緒に上下させることで、変化を感じてもらえるように作りました。

飯山:一つの大きな折れ線グラフがあって、その一部を拡大して見ていくイメージです。

安中:視認性の高さと情報量の両立も悩みどころでした。天気なら、晴れはおひさま、雨は傘の絵で分かってもらえますが、気圧の変化はどう表現すればよいだろうと。警戒マークは爆弾、下降傾向は矢印などで落ち着きました。

――そうした苦労は報われましたか?

安中:そうですね。医療現場のお医者さんが患者さんに勧めていると聞きました。他の記録アプリと比べて操作性が高く使いやすいからだそうです。嬉しかったですが、まさかここまで広がるとは思っていませんでした。

PCブラウザ対応やキャラクターのスピンオフも検討中

――確かに、1時間ごとの天気予報など細かな情報も載っています。痛みの程度や服薬の記録を付けられる機能もありがたいです。しかし、無料で配信して採算は取れるんでしょうか?

安中:最大の目標は気象病の症状と概念を多くの人に知ってもらうことだったので、お金は後回しでした。

飯山:次のバージョンでは課金版を作ります。今の無料版はそのまま残し、記録を長期間保存できるようにします。

安中:あと、全国マップで表示するお天気がパワーアップします。全体的に、これまでの頭痛ーるの機能をより掘り下げたものが出来る予定です。

――なるほど、楽しみにしています。他に考えている今後の展開があれば教えてください。

安中:WEB化です。ブラウザでも予報を見られればもっと便利になりますし、さらに多くの人の生活を豊かにできるんじゃないかと。

――次のバージョンアップでは、マロ達の幸せな姿も見られますか?

安中:そうですねえ、ウェブサイトでスピンオフのように展開していくのも面白いかなと構想しています。アプリ内でのマロ達のセリフは増やしていくつもりです。キャラクターのストーリーがバズったのも、博士の「今日は母の日じゃな。マロは覚えているのかの」といった何気ないセリフからユーザーの方がざわめきを感じ、調べてみたのが始まりだと思います。そうした小ネタは、これからも仕込んでいきたいです。

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