2月27日放送の「モーニングCROSS」(MX系)で、これからの働き方について矢野経済研究所社長の水越孝氏が提言した。
同月、大手コンビニチェーンのファミリーマートは全社員の約15%に当たる1025人が希望退職すると発表した。これについて水越氏は「(ファミリーマートの)今期の決算の予想では600億円の黒字なんですね」と話す。それにも関わらず大胆な人員削減を行う理由について、
「人員削減で80億円が浮くので、加盟店の補助金に使われる。なぜ支援に使われるのかと言うと人件費が高騰しているから。人件費が高くなっているのはアルバイトがいないから」
と説明する。コンビニや飲食店などは非正規かつ低賃金で働ける若者を採用することで業績を伸ばしてきたが、若者の減少に伴いフリーターも減少。従来のビジネスモデルは今後通用しなくなる。それを危惧してファミリーマートは構造改革に取り組もうとしていると分析した。(文:石川祐介)
40代以上でリストラになった人は昨年1万人以上、再就職は困難
水越氏は「バブル崩壊の時期から規制緩和の流れが来て、派遣の業務が拡大した。次に緩和しすぎてブラック企業とかが問題になって今度は規制を強化した」と時代ごとに労働規制が変化していると説明する。
今後は労働力が不足していくため、昨今”規制の枠外に行く”という概念が出てきている。枠外とは、副業、フリーランス、裁量労働制、高度プロフェッショナル制度などの働き方のことで、特に中高年は”枠外”を意識すべきだという。
「昨年だけでリストラになった40代以上は1万人いますが、この人達は簡単に再就職できない」
再就職の難しい中高年は、例え雇用されても安く使い倒される仕事にしか就けない可能性もある。
そのため従来の働き方を改め、規制の枠外で働く意識を持つことの必要性を説く。水越氏は「枠外に行くということは自由度が増える」と中高年の活用が日本の将来に大きく関係していると話した。
中高年に終身雇用の価値観がある中、本当にフリーランスに転向できる?
ネット上では「キャリア転換は実際には難しいので、振り落とされる人が増える」と中高年になって学び直しができるのか疑問を感じている人が多い。
またフリーランスに転向しようと思っても、労働時間ではなく成果で評価されるようになるため「会社に縛られぶら下がる価値観の中高年の再教育には多大なコストがかかりますね」という人もいる。
雇用されることが当たり前だった人にとって「結果を出せばOK」の働き方に対応することは非常に困難だ。「すべての元凶の非正規雇用の制度をなんとかしないとなんもかわらないんじゃないの?」という声が挙がるように、環境改善が急務なように思える。
とは言え、様々な企業で中高年を対象にした人員削減が敢行されている。中高年に限らず若い世代でもキャリアプランは明確にしておく必要があるだろう。