テレワークを謳歌する人がいる一方、メンタル不調に陥ってしまう人もいるようだ。はてな匿名ダイアリーに6月中旬、「在宅勤務、みんなはどれくらいサボってる?」というエントリがあった。サボリ万歳という投稿かと思いきや、投稿者は在宅勤務が2か月ほど経過し、すっかり”サボり癖がついた自分”に嫌気が差している様子だ。
最初のうちは新鮮だった在宅勤務。自宅の方が集中できると思っていたが、やがて完全にだれてしまったという。毎日数時間の昼寝やSNS、動画を見てサボリまくる日々を綴っているが、決して精神的に楽とは言えないようだ。「通勤によるオンオフの切り替えや職場という周囲の目がある環境が、自分には必要だった」として、苦しい現状を
「孤独と生来のめんどうくさがりが合わさってもうひどい」
などと訴えた。(文:okei)
「そろそろ人と話したい」 ――日々の会話は5分の進捗確認だけ
さらに、しんどいと訴えるのが日々の孤独だ。一人で黙々とできる仕事だが、人との会話は毎日5分ほどの進捗確認だけで「そろそろ人と話したい」という。仕事は早い方だったが、在宅勤務が始まってから目に見えてパフォーマンスが落ち、「いつ注意されてもおかしくない」とおびえている。
留年した学生時代のだらしなさまで持ち出してメンタルを削り、
「何でみんなと同じように真面目に働くことができないのだろうか。とか考えながらサボってる自分がいる」
などと自分を責め、助け求めていた。
サボってパフォーマンスが落ちているといっても、まったく仕事をしていないわけではないだろうに、必要以上に自責の念に駆られて身動きが取れなくなっている様子だ。恐らく一人暮らしで一日中ほぼ誰とも接する機会がないため、気持ちの落ち込みが激しくなっているのだろう。筆者も在宅仕事をしているため、誰とも話さないで一日が終わるしんどさはよく分かる。
サボりでなく”生産性を上げるための休憩”と考えてみては
この投稿にはブックマークが800件近く付き、さまざまな意見が寄せられた。多かったのは「みんな意外とサボっているよ」という主旨のコメントだ。
「会社いてもいなくてもサボってるだろ」
「『テレワークのときは残業禁止』というルールにしたら会社全体で目に見えて残業減った。成果物の遅れも気になる程無い。多分『仕事してるフリ』が明確なサボりに置き換わっただけだろう」
などのほか、「通勤が往復2時間かかっていたので、サボりは1日最大2時間までOKというルールにしてる。守れるかは別」という人も。投稿者と同じようにサボっているが、会社にいる時と仕事量はたいして変わらない、むしろ会社の方が雑談やネットでサボっている時間が長かったというコメントも多かった。
他方で「在宅勤務続いてるけど人恋しいなんて微塵も感じない。出社したくない」という人も多い。在宅勤務を続けたいがためにサボらなかったという人や「ちょっと休憩で3分横になると、その後の生産性爆上げなので会社でも横になりたい」などと適度な休憩の大切さを訴える声も多数出ている。
つまり、ポイントは”生産性”ということだろうか。これまでは、たくさん働く人が「頑張っている」とされ、定時に帰りづらい、有給が取りづらい、さらに「働き方改革」が表向きだけの会社も多かった。日本生産性本部が2018年に発表した「労働生産性の国際比較」(17年版)によれば、日本は先進7か国中最下位だ。サボりというと人聞きが悪いが、適度に休憩を取りつつ、短時間で成果を上げられるような働き方ができるなら、何ら恥じる必要はない。考え方が変われば、友人をオンライン雑談に誘うなど自分から人と関わる行動につながるかもしれない。