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「うちは法に則って仕事をしていたら潰れてしまう」 何かあったら逮捕要員?退職を決意した人々

市場内の水産会社で働いていた50代女性は、会社の労務管理のブラックぶりに「心が折れた」という。

「朝3時始業11時迄の勤務ですが、タイムカードは出社時のみ。残業しようが手当てなし。休日の出社でも配送が通常業務との事で、『休日出勤ではない』との説明。正社員とは名ばかりの寸志程度のボーナスに心折れました」

システムエンジニアとして働いていた30代の男性も、長時間労働やサービス残業に悩まされた。当時、男性が受け持っていたのは病院のシステムで、かなり過酷な労務実態をこう明かす。

「病院の電子化真っ最中の時代。 通常の勤務は9時30分から18時です。病院が相手ですので、打ち合わせやシステムの設定変更などは、診療時間後になります。 すんなりいけばいいですが、トラブルがあるとエンドレスに。システム変更後の翌朝は、稼働確認のためにシステム稼動前に出勤になります」

病院の診療時間に合わせて業務するため、「23時に作業が終わり、(深夜)1時ぐらいに帰宅し、始発で行く事が多々ありました」という。

「もちろん、残業代はなし。早出出勤で手当もなければ早くも帰れない。現場近くのホテルにも泊まらせてもらえず。勤務記録は毎日定時で書かされ、月末締めだけど月の予定半ばで提出。明らかなブラックでした。上司に言ったら『この世界は当たり前だから』と。さすがに体がもたなくなり、医師からはドクターストップがかかり退職しました」

男性は現在、企業の管理部門に所属してエンジニアとして働いており、こう心情を吐露している。

「(今の会社も)細かい不満はありますが、この時に比べたら天と地ぐらい違います」

「法的なグレーゾーンなら、ブラックに近いグレーまでやらないと!」

技術職の40代男性は、違法に近いやり方をする会社に耐えきれず、転職活動を始めた。男性は、この会社には「組織としてコンプライアンス順守という概念がない」と断言。取締役から言われたこんなセリフ明かす。

「『法的なグレーゾーンなら、ブラックに近いグレーまでやらないと。うちは法に則って仕事をしていたら潰れてしまう』と、取締役のありがたいお言葉を頂きました。二重会計、印紙税法違反、公文書偽造、建設業不違反、労働安全衛生法違反等挙げればきりがなく、『課長にしてやるから、違反を違反として認識していない人間の面倒を見ろ』と言われた」

それは「課長に昇進できる」と純粋に喜べるものではない。

「『何か問題があったら責任者として責任をとれ』ということであり、死亡災害など起こしてしまった日には逮捕要員としての扱いなんだとハッキリ解った日より、転職活動を開始した」

会社の違法の責任を全て押しつけられる前に、男性は賢明な選択をしたようだ。

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