過酷な労働環境で知られる介護業界。転職を繰り返しながら介護の仕事に携わっているという50代女性(神奈川県/医療・福祉・介護/年収100万円未満)から、ある介護施設でのつらいエピソードが寄せられた。(文:林加奈)
それは「できたばかりの介護施設」での出来事だった。そこでは「事務兼介護」で採用された。
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「人柄もよく人望もある施設長がターゲットになりました」
その介護施設では、人事のすべてが本部長1人の権限で決められていた。かなり横暴な人事がまかり通っていたようだ。
「まずは人柄もよく人望もあり、福祉に詳しい施設長がターゲットになりました。突然、どう考えても通勤できない他施設への転勤命令が出て、施設長は辞めました」
原因は、「施設長を良く思っていない看護師が、ある事ない事を本部長に伝えていた」からだという。
「私は事務主任になっていて、なおかつ夜勤10回と忙しく働いていましたが、その施設長のねぎらいがあったからやってこれていました」
信頼している施設長の突然の退職に女性は落胆した。結果、副施設長が施設長となり、事務主任だった女性は副施設長になった。役職的には昇進したはずだが、なぜか
「ありえないほど給料が下がりました。みなし残業代40時間分が含まれていたのがつかなくなり、夜勤の回数が減りました」
と綴る。おそらく「管理職」扱いになったためだろう。こうした状態は「名ばかり管理職」と呼ばれ、本来は残業代が支払われるべきとして問題視されている。それでも「愛社精神があった」という女性は懸命に走り回っていたそうだ。
突然の降格「とてもよく働くパートさんを引き留めなかったでしょ」
ところがある日、本部長から「明日から新しい副施設長が来るから、あなたは事務主任に戻って」と突然降格の辞令が出された。
「『あのね、とてもよく働く退職希望のパートさんを引き留めなかったでしょ、そのことでみんな怖がっているし、怒ってるんだよね』との理由でした。しかし、そのパート女性は言葉遣いも悪く、車いすを猛スピードで押したり、社内で多数の男性職員とのうわさがあったことから、各階の介護主任等に意見を聞いた上でのことでした」
引き止めなかったのは勤務態度が悪かったからだ。しかもこのパート女性、投稿主によれば「もともと辞めるつもりはなく辞めると言って時給アップして引きとめてもらうのが狙い」だったという。
しかし、やはり前述の看護師から本部長に「使える職員を切った」という告げ口があったそう。結局パート女性は退職せず、「パートにもかかわらず介護主任より給料が上がってしまった」と女性は憤る。
その後、事務主任として働いていたものの「新しい副施設長とは合わないと思い、数日後には有休消化を使い退職」した。女性が退職した後、すでに退職したほかの職員が何度も労基に相談に行っていたため、施設は「年中行政指導が入るように」なったという。
女性は、「1人の上司の権限が全てを左右できるなんて……怖い会社でした」と胸中を吐露している。