女性は入社から半年経過し、有給休暇の付与対象となった。すると院長が
「年に10日も休むのか。忙しい時に休まれると困るんだよ。休みばかりじゃないか」
と言い出した。女性はそれまでの半年で医院の決めた日以外は休んでおらず、休みの希望日もまだ出していなかった。院長には「忙しくなりそうな日は避けて早めに申請するし、10日丸々休まないので」と希望日に休みを取らせてほしい旨を頼んだが、「いい顔をされなかった」という。
その後「働き方改革にも疎い」と女性が評した院長は、社労士に相談したようだ。その結果……
「『事業所としては、有休は年5日取らせれば問題ないということだから、あなたの有休は年5日ね。日にちはこちらで決めるから』ということになりました。しかも前日の終業時に『明日、暇だから休んでいいよ』という一言で決められるのです。もう一人の方は陰で文句を言いながらも、それに従っているようでしたが、私には無理だと思いました」
「患者のために先生と頑張ろうという気持ちを維持できない」と思い、退職を決意
有給休暇を自由に取らせまいとする方針にドン引きした女性。「面接で詳しく確認しなかった私にも非はあるのですが」としつつ
「この医院では有給休暇を取る人はほとんどおらず、退職するときにまとめて、何年務めようと最大10日消化していたようです。院長は他の歯科医院での勤務経験はないそうです」
「前日急に休みを決められてもリフレッシュできませんし、できることも限られています」
などと不満を吐露。この件が引き金となり、女性は働きだしてから半年で退職した。「患者さんのために先生と頑張ろうという、医療に従事する者として一番大切な気持ちも維持できないと思い、辞めることに迷う気持ちはありませんでした」と振り返る。
なお、現在は「法令順守の歯科医院にすぐ転職できました」と、前職の会社を皮肉っている。「尊敬できる院長の下で働けるようになり、満足です」と明るく語ってくれた。