当時、「常駐先の客先に導入していた機械が『たまに』異常動作する」という問題があり、「ひたすらお客さんに代わって何百回、何千回も操作して試す」という作業が発生していた。「重労働だがあまりコストも掛けられないことから、新人が配置されたのですが……」と男性は言い淀む。
「(その新人は)客先で待ち合わせた当日、まず連絡無しで遅刻。悪びれもせず作業指示をうけて着手するも、昼に自分が呼ばれて行ってみると 『この作業、ボクがやるのは無駄だと思うんですよねぇ……』 。なんでも自分はもっと大きな仕事ができるので、こういう繰り返し単調作業はやらせるべきではないと」
ここで怒ってもおかしくないが、男性は忍耐強く「あなたがやらなければコストが2倍近い自分や他の先輩達がやることになるんだよ」と諭したという。「客先に入り込んで作業なんてなかなか出来ないから、周りの雰囲気や仕事を見るのも兼ねてやってみなさい」と続けた。男性は別の後輩にあとを任せ、別件のためその場を離れたそうだ。
「早々に退職してしまいました」
ところがその日の夕方、男性は後輩からのこんな電話で度肝を抜かれることになる。
「新人の彼、顧客の休憩ブースで昼寝してるんですけど!!!」
結局、ただでさえ機械の不調で印象が悪いところを、「そこに配置するだけでさらに悪印象を重ねかねない」ということで引き揚げさせたというが……。
「その後、単純作業だろうが頭脳労働だろうが何も出来ず、早々に退職してしまいました。『こんなくだらない仕事をボクにやらせるな』みたいな事をいう新人は実在するんだ、ということで驚いた一件でした」
と男性は呆れたように語っていた。