バイト中は仕事をこなしながらでも客と話をする余裕があったため、「2日に1度ぐらいでご来店される60代ぐらいの女性とかなり仲良く話すようになりました」と女性は振り返る。
「初めは、他愛のない会話から、私の家族構成や持ち家か?など聞いてくるようになりましたが、お客様なので邪険には出来ないな…と思い、濁す形で、少しだけ教えてしまいました」
そのお客は、真剣にメモをとっており「ちょっと怖いなーぐらいにしか思わなかった」という女性だが、相手は「なやみごとは?」と質問をしてきたという。
「その時にちょうどおじいちゃんが病気にかかっていて悩んでいたのですが、その話はあえてしませんでした。『特にありません』と答えましたが、『では、何かあった時のためにあなたの住所と電話番号を教えてちょうだい、必ず力になるわ!』と言って来ました」
「(そのとき)女性のバッグの中にチラッと見えたのは、宗教と思われるカタログ?チラシのようなもの……。もちろん、電話番号等は教えられません!とはっきり断った上で上司に伝えて、女性にはお帰り頂きました」
と、ヒヤっとした経験を明かした女性。個人情報や悩みにまで踏み込んできた相手に、毅然と対応ができたようだ。しかしその後も、少し間を置いて来店し
「別の従業員(男性)に声をかけていて、『なやみごとは?』の問いに『お金が無いことです(笑)』と(従業員は)適当にあしらっていて、なんだか笑えてしまいました」
と女性はどこか愉快そうに振り返った。やがて勧誘は来なくなったというが、話上手の常連客だったため他愛のない世間話ができないのは寂しいような気もしたという。女性は「普通のお客様としてまた来店はして欲しいですね!」と素朴な願いを綴っていた。