「無理をして、いまだ傷口が痛みます」乳がんにかかった女性が語る、職場で受けた過酷な圧力 | キャリコネニュース
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「無理をして、いまだ傷口が痛みます」乳がんにかかった女性が語る、職場で受けた過酷な圧力

画像はイメージ

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病気でやむを得ず仕事を休むとき、上司から「俺の勤務時間が長くなる」と愚痴をぶつけられたら最悪だ。ドラックストアに勤務する40代女性は今年春、左胸にしこりを見つけ、検査の結果乳がんと診断された。

「私はパートですが、チーフとして社員がいない間の店を回しています」と語る女性の仕事は、接客をはじめ商品の発注やクレーム対応まで多岐に渡り、店にとってはなくてはならない存在だ。とはいえ、長期で仕事を休むことは避けられなかった。

「その後、手術が決まり、上司には『手術の後は放射線治療があり、復帰できる日はまだハッキリと言えません。申し訳ございません。3か月間はお休み頂きます』と話しました。その時、上司は『分かりました。ゆっくり休んでください』と言っていたのですが……」

店長は30代の男性で、理解してくれたのかと思いきや、手術が終わった8月に信じられない言葉を発してきたという。編集部では女性に当時の状況を詳しく聞いた。

「俺またフル勤続くのかよー!はぁーーー!マジかーー!」と目の前で10分間

「私は7月に入院する直前まで働いていたのですが、異動してきて間もない店長で性格や考え方など全く知らないし、コミュニケーションもないまま休職を伝えることに重い気持ちになりました」

それでもなんとか休職し、手術は無事に終わった。その後は放射線治療が待っており、まだ復帰できないことは店長も理解してくれていると女性は思っていた。ところが、8月に現状報告のため再び店を訪れると、思いもよらない言葉をぶつけられてしまう。

「私が『ご迷惑おかけしています。まだ放射線治療が始まる日が分かりません。なので復帰はいつできるか全然分からなくて、すみません』と伝えると、『マージーーかーーよーー!俺またフル勤続くのかよー!はぁーーー!マジかーー!マジかーー!』と目の前で10分間言われ続けました」

なんと、女性が何か言うたびにそんな受け答えをしたのではなく、本当に10分もの間「マジかー、えー、あー、はぁー、なんだよー、またフル勤かよー…」と一方的に繰り返したという。

「店長は10分間ひたすら一人で文句を言っていました。私は最初こそ『すみません』と言いましたが、あまりにもしつこく、いつまでもグチグチ言ってるので、最後はほとんど無言で耐えていました」

女性の普段の勤務は朝8時から17時まで。休んでいる間は代わりの人員が補充されたわけではなく、本来は午後から閉店まで勤務する店長が、朝からフルで働いていたようだ。人手不足のために1か月ほど「フル勤」が続いて大変だったことは理解できるが、手術直後の病人に対してあまりにも配慮に欠けた言動だ。

「ただでさえ大きな不安を抱えているのに、思いやりなど一切ない言葉と態度に悔しさと驚きで、辛くて。『マジかー』と思うのは仕方ないけど、口に出されたことに驚きました。ハッキリ言って私には告知よりもキツい言葉でした。がんセンターで放射線治療の開始日を話している時に、涙が止まらなくなってしまって……」

後で思い返しても自然と涙が出てしまうくらい、ショックな出来事だった。

「私は癌になるまで一度も休んだ事がありませんでした」

結局、女性はわずか1か月ほどで復職することになってしまった。

「やはり、その圧に負けて8月下旬までフルタイムで働きました。放射線治療が始まってからは午後2時までの勤務で、そのまま放射線治療に向かうこと1か月。術後に無理をした為、いまだに傷口が痛みます」

店長に気を遣い、働きながら治療に通う日々となってしまった。当時の思いをこう語る。

「私は癌になるまで一度も休んだ事がありませんでした。入院も手術も放射線治療も全てが不安でいっぱいいっぱいでした。私だって出来るのなら、痛い治療より働いてる方が良かったです。その上での現状の報告だったのに、目の前で勤務時間が長くなる事を愚痴られるとは思いもしませんでした」

その後さらに上の上司に話してみたが、何も変わらないと肩を落とした。女性には、くれぐれも身体を大切に、無理をせず今後の生活を送ってほしい。

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