部長の申し出に対し、
「契約社員という非正規の立場でプロジェクトマネージャとして開発メンバーを率いるのは、責任の重さと部下の信頼度が見合わない」「1年半という長い試用期間にも疑問」
と難色を示した男性。雇用契約書に「試用期間満了したら社員登用する」旨の文言が入るのか確認するも、部長からの返答は、
「経済的な側面から1年半後に採用できるか確約できないので、契約書には書けない」
だった。この時点ですでに2回の面接が行われていた。「面接日は全て平日」だったため、働きながら転職活動をしていた男性は有給休暇を使った。無駄にしたくないところではあるが、
「あまりにも思慮のない内容でしたので、面談の後日、A社社長に『またご縁があればよろしくお願いします』と就職のお断りをしました」
と、不安のほうが勝ったようだ。それから1週間ほどして、A社の社長から直々に、
「もう1度、部長が話したいことがあると言っているので来社してくれませんか?」
と連絡が来た。
「『あなたの人格とやり方には疑問を感じる』と叩きつけてやれば良かった」
辞退したにもかかわらず「お話したいというのは何だろうな」と興味を持った男性は、会社を訪問した。Uターンで、時間も交通費もだいぶかかっただろう。そこで部長に、
「契約社員で試用期間1年半・その後の採用保証もないままだが、プロジェクトマネージャではない別の仕事はどうか」
と打診された。これには拍子抜けしただろう。前回の面接で不満だったのは役職のことではなく、「長期試用期間と社員採用の約束がない」からだ。そのため「条件が飲めない」という旨を伝えたところ、部長は、
「あまりにもワガママであなたの振る舞いには社会人としての人格に疑問を感じる」
と言い放った。男性は、
「いやいや、私はもう入社のお断りをしているのに、話したいというから、わざわざ有休とって来社しているのに、なぜ人格を疑われないといけないのか……」
と憤るが、当時は呆気にとられ言葉を失ったようだ。
「部長の態度には『あなたの人格とやり方には疑問を感じる』と叩きつけてやれば良かった」
とこぼした。
部長との面接後、転職活動を1年ほど続けるも「地元の会社は東京・大阪への転勤が必須だったり、低賃金なのに倍の相場でハロワ募集しているような内容ばかり」と、うまくいかなかった。そこで「就職を諦めて独立開業」する。その結果、
「独立開業して3倍の収入を稼いでます」
と胸を張る。人格を否定してきた部長に今の姿を見せたいだろう。